アジアLCC不調で台湾のVエアが運行停止、中華航空も撤退検討
アジアの格安航空会社(LCC)に淘汰の波が近づいている。台湾では復興(トランスアジア)航空が10月から傘下のLCCの運行を停止し、中華航空も合弁からの撤退を視野に入れて事業を見直す。インドネシアやインドでもシェア下位のLCCが苦戦している。成長市場をにらんだ各社の路線拡張や運賃引き下げが続き、日本勢も含めた厳しい競争の中で各社の勝敗は大きく分かれている。
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台湾の復興航空系LCC、Vエアは2014年から羽田や関西、中部のほか茨城や那覇にも就航し日本線を主力としてきたが、高まる運賃競争に耐えきれず全線の運行を9月末までで停止する決定に追い込まれた。中華航空も傘下の台湾虎航(タイガーエア台湾)で運営するLCC事業の見直しに着手し、事態改善がみられないなら撤退もありうるとしている。
LCCは低運賃のため、採算ラインとなる搭乗率が70~80%と一般と比べ10%高く設定されているが、Vエアや虎航はこれを割り込むことが多く、赤字が膨らんだとみられる。人口増加と経済成長を追い風にアジアでは航空旅客需要の伸びが続き、東南アジア最大手のエアアジア(マレーシア)などの復調が目立つ。しかし、経営体力のある大手が運賃で攻勢を仕掛け、後発や小規模のLCCが苦しむ様相が鮮明になっている。
大手各社は新型機の発注など拡大の手を緩めず、日本勢も今後の競争激化は免れられない。バニラ・エアを傘下に持つANAホールディングスも他のLCCと航空券の販売などで連携する「バリューアライアンス」の設立へと動いた。日本の地方都市にとってLCCの地方空港への就航はアジアから旅行客を呼び込むうえで非常に重要だ。苦境に陥るLCCが増えれば訪日客の誘致に影を落としかねない。
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