2016年7月8日

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イギリスのEU離脱、ロシアへの影響は?

イギリスのEU離脱、ロシアへの影響は?

国民投票によりイギリスが欧州連合(EU)から離脱することが決まって以来、ロシアでも自国の経済や国際関係に対する影響が議論されている。欧州市場の混乱がロシア市場にもたらす影響は限定的との見方があることに加え、欧米諸国の課す経済制裁が緩和される可能性も指摘されている。

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国民投票の結果が明らかになって以降、ロシアの政府関係者は相次いでコメントを出したが、これまでの英国との関係を踏まえると総じて控えめだった。プーチン大統領はロシア市場に対しネガティブな影響を残す可能性があると指摘したが、ペスコフ大統領府長官は貿易相手先としてのEUの重要性を強調し、EUが安定的で予見可能な経済的なパワーを持つ地域としてあり続けるよう関心を持って見守ると述べた。
 
国民投票の結果に対しロシア市場も直ちに反応した。同国を代表する株式指標であるRTSが5%低下し、為替市場では対ユーロでルーブル高となった。ロシアの貿易量全体に占めるEU諸国の比率は44.5%と大きく景気への影響は免れない。ロシア最大の銀行ズベルバンクのグレフ総裁はブルームバーグに対し、「英国のEU離脱は通貨安に繋がりロシア債券に対する需要が減少する」と警告を発した。
 
一方、市場関係者はロシア経済への影響は限定的だとの見方を示す。投資顧問会社モスクワ・マクロアドバイザリーのクリストファー・ウィーバー氏は、「英国の決定によって今後数年間は世界市場の先行きが不透明になり、多くの新興経済国に間接的な影響が及ぶだろう。しかしロシア経済に対する短期的な影響は極端に大きなものとはならない」と述べた。同氏はまた南アジア諸国の経済成長や米国のシェールガスの採掘、イランや中東情勢の進展といった要因の方が重要だとの見方を示した。
 
通貨市場に関してはロシア中銀のナビウリナ総裁がタス通信に対し、同国金融市場に対する影響は限定的だと述べている。これについてウィーバー氏は、中銀は為替の変動を押さえることができるとし、今回の結果によって中期的なマクロ見通しを変える必要はないと述べた。
 
一方、英国のEU脱退によりロシアに対する欧州諸国の経済制裁が緩和されるとの見方も出てきている。ソブヤーニン・モスクワ市長は「英国がいない今、我々に対する制裁措置を熱心に維持しようとする国はEU内にはない」と述べている。ドイツのメルケル首相は制裁措置で同調してきた英国を失った上、制裁緩和を求める連立相手の社会民主党や同国産業界、イタリアなど他のEU諸国からの圧力が強まっている。また英国内でも、次期首相としてウクライナ問題などでロシアの立場に対し理解を示してきたボリス・ジョンソン前ロンドン市長の名前が挙がっている。

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