ロシア、欧州向けガスパイプラインを拡充
ロシアが欧州に天然ガスを供給するパイプラインの拡充に動き出した。バルト海経由でロシアとドイツを結ぶ「ノルトストリーム」を増設するほか、黒海経由のトルコ向け輸送ルート「ターキッシュストリーム」もギリシャまで延長する。ロシアとの関係が悪化しているウクライナを迂回する複数の供給ルートを確保し、最大の顧客であるEUに安定的に供給する態勢を強化するとともに、ロシアへのガス依存脱却を図るEUをけん制する狙いがあるもようだ。
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ロシア国営ガス会社ガスプロムは18日、独エーオン、オーストリアのOMV、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと共同でノルトストリームに新たなパイプライン2本を敷設することで合意した。ノルトストリームは2011年開通で、総延長は約1,200キロ。今回の合意により、輸送能力は現在の年550億立方メートルから1,100億立方メートルに倍増する。
一方、ロシアのノバク・エネルギー相とギリシャのラファザニス・エネルギー相は19日、ターキッシュストリームのギリシャへの延長に関する覚書(MOU)に調印した。ターキッシュストリームはEUとの関係悪化でとん挫した「サウスストリーム」に代わるプロジェクトで、ギリシャへの延伸は2016年の着工、2019年の稼働開始を予定している。
EUはロシア産ガスへの依存を軽減するために、アナトリア横断パイプライン(TANAP)やアドリア海横断パイプライン(TAP)を通じて、ロシア以外の旧ソ連諸国からのガス調達ルートを確保しようとしている。ロシアは今回、2つのMOUを相次いで発表することでEU側に揺さぶりをかけた格好だ。
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