フィリピン経済成長の影に環境破壊
高い経済成長率を誇示しているフィリピンは、ドゥテルテ大統領の違法薬物容疑者抹殺政策が国際的な批判を浴びているが、そういった『邪魔者は消せ』思想は国内の多くのレベルに蔓延っている。
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このドゥテルテの強権的な政治手法はフィリピン一の観光地ボラカイ島を環境汚染を理由に長期間閉鎖するなど、環境保護政策には積極的な方向を示し、就任後最初に任命した環境天然資源省長官が、環境保護を理由に国内の露天掘り鉱山など27社に操業中止命令を出した。
【写真はボホール島にある露天掘りの鉱山。山を崩して対岸のミンダナオ島にある日系のカワサキ・シンターへ焼結原料を運んでいる】
しかし、同長官は鉱山業界に結びつく議会勢力から『任命資格はなし』と判断され放逐されてしまったが、7月23日に行った大統領施政方針演説では鉱山問題が取り上げられ、改善が行われない鉱山に対して閉鎖命令を出すと警告。
特に露天掘り鉱山は認めず、環境天然資源省が命令を出すのではないかと見られる鉱山は日本の企業も深く関わるニッケル鉱山が3社、クロム鉱山が1社とされている。
鉱山企業による環境破壊は積年の問題で、地元民などが環境破壊反対運動を展開するが、それに対して鉱山企業にぶら下がり利権を甘受する地元政治屋、有力者側から活動家への殺害が多発している。
これを裏付ける報告がイギリスの環境保護NGO『Global witness』が発表した最新年報告によって、環境保護運動家が殺害された人数でフィリピンは世界で2番目に多いという結果が出た。
1番殺害されている国はブラジルでその数57人、フィリピンは前年比71%増の殺害数48人で続き、成長するASEAN加盟国ではミャンマーが2人殺害で入るのみで、いかにフィリピンで環境保護活動家が殺害されている異常な国か分かる。
3位にコロンビアが入り、ペルーなどアマゾン川領域を持つ国が上位に入り、中南米諸国やアフリカも多く、いずれも貧困国から高成長を続けている国の経済状況関係がある。
フィリピンの殺害数の内訳では『資源の島』と知られるミンダナオ島での殺害が全体の67%を占めていて、先頃『バンサモロ基本法』が成立、発効する運びとなっている同地域で貪欲な資源開発を計画する側と地元民による対立が激化し、殺害が増えると憂慮されている。
この報告書の数字は環境保護活動家殺害だけではなく、フィリピンでは農地改革を進める活動家も含まれていて利害の対立する地主と農民側の対立も激化し、殺害数の減る様子はない。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=361
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