内戦で浮き彫りになったフィリピン・ミンダナオ島の『一国二制度』とは?
フィリピン南部ミンダナオ島の『内戦』は、従来イスラム教徒が多数を占める同地への中央政府の政策によるキリスト教徒の移住、開拓、それに対するイスラム教徒側の反撃、及びミンダナオ島に豊富な『資源』を巡る利権の争奪が原因と見做さていた。
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このため1970年代からイスラム系反政府武闘組織が相次いで結成され、政府軍と長い間、熾烈な戦闘を繰り広げられていたが、イスラム教徒が支配する地域に自治政府を認める法案が、上下下院の承認後の7月26日、ドゥテルテ大統領の署名が成され、発効の運びとなった。
この法案は『バンサモロ基本法』と呼ばれ、発効後90日から150日以内に自治政府地域を定める住民投票が行われる。
この自治政府だが、武闘闘争の結果1990 年からミンダナオ島の2州と島嶼部の3州の計5州でイスラム教徒ミンダナオ自治区(ARMM)が創設されたが、内部の権力闘争や自治政府の腐敗などで機能が不全な状態が続き、『分離独立』を叫ぶイスラム武闘派の力は強まりミンダナオ島から戦火は消えなかった。
このため、より高度な自治機能を持つ政府を認める方向で、前アキノ政権から武闘派組織との交渉が進み2014年までに和平協定が成された。
今回の『バンサモロ基本法』はフィリピン政府の歳入の5%が交付され、自治区内で徴集された税金は75%が自治政府、25%が中央政府に入るように設定する一方、外交や国防部門は従来通り中央政府の管轄となった。
この基本法で特筆されるのは、自治区内のイスラム教徒にはイスラム法に則った司法制度が施行され、イスラム教徒以外はフィリピンの一般法かイスラム法を選べることで、実際の運用の面で危惧されている。
なお、自治政府移行スケジュールだが、自治区の領域が住民投票で決まった後、武闘組織のメンバーと現在のARMMの議員からなる『バンサモロ移行局(BTA)』が作られ、BTAは暫定的な行政権と立法権を持ち、大統領の任命によって首相代行が置かれる。
その後、2022年に最初の選挙が行われ、BTAは解体され、正式な自治政府が発足することとなる。
この制度は中国が香港との間に50年間の自治を保証をした『一国二制度』と似ているとの指摘もあり、中国が強権的に香港の自治を踏みにじっている現状からドゥテルテの時代は良くても先は分からないという声も上がっている。
最初に行われる自治区域確定の住民投票にしても、賛成派と反対派による衝突が予想され、また憲法違反の声も根強く、ドゥテルテや中央政府の思惑通りいくかどうか不確定な要素が多く、ミンダナオ島から戦火はなくならないとの指摘もある。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=453
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