台湾表記 対応に苦慮する航空各社 JAL、ANAは中国語サイトで変更
中国民用航空局は4月、44の海外航空会社に対して、オンライン航空券購入サイトでの台湾・香港・マカオを中国の一部とする表記に変更するよう求めた。これに応じて、日本の大手航空会社2社は中国語サイトの3地域の表記を変更した。
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ANAおよびJALの広報担当は、このたびの中国当局の通知を確認していると大紀元の取材に答えた。2社は日本語、英語サイトではこれまで通り、3地域を他国と並列に表記した。中国本土で使用される簡体字、香港繁体字のサイトでは、中国本土を「中国大陸」、3地域は「中国台湾」「中国香港」「中国マカオ」に変更した。
2社は大紀元の取材に対して、変更した理由について「(航空券を購入できる)サイトを利用するすべてのユーザーにとって、わかりやすく、受け入れられる表記にした」と述べた。JALの広報担当は「今後の状況次第で、さらなる変更も検討しうる」と答えた。
中国当局は、航空各社に対して、表記変更まで期限を独自に設けている。7月25日を最終日として、対応しなければ「行政処分を科す」と強要する姿勢をちらつかせている。
参考:強まる台湾への外交圧力 中国、航空各社に表記変更を要求
韓国アシアナ航空、大韓航空など一部の航空会社は、国名の表記を避け「北東アジア」の都市として、3地域を成田、北京、ソウルなどと並列に表記した。
米国の大手航空3社は変更を行っていない。ユナイテッド航空、デルタ航空の広報は、米紙ウォールストリート・ジャーナルに対して「米国政府が解決しなければならない外交問題だ。この問題について米国政府が対応する」とした。
ANAは取材に対して「変更について外務省、国土交通省へ報告しているが、日本当局の指導はこれまでのところはない」と述べた。
台湾表記変更は新たな外交圧力
6月中旬、米国のニュー・アメリカン・セキュリティ・センター(CNAS)が主催した中国の経済強制について討論の場が開かれた。シンクタンクである米国戦略と国際研究センターで、中国問題を担当するボニー・グライサー理事長は、「表記強要は脅しに過ぎない」との見方を述べた。
「中国は、台湾に武器を売却する米国に対して報復すると脅しているが、実際に報復行動はなかった」とした。グライサー氏は各航空会社が、中国側の要求を満たすために中国語サイトでは3地域には明確な線引きをしないあいまいな表現にし、英語などでは従来表記にするなど、政治問題とは分けた実用的な対応をとることが賢明とした。
米国のリスクコンサルティング・ユーラシアのアジア局長マイケル・ハーシュン氏は、中国当局による台湾表記の変更要求は新たな外交圧力だが、多くの企業はこの問題対応には準備不足だとした。
ハーシュン氏は、企業は迅速な対応として「謝罪」することで終止符を打とうとしているが、これは「屈服」することで、さらなる圧力に見舞われる可能性が高まると分析した。
ホワイトハウスは5月5日の声明文で、表記変更要求について、トランプ大統領は「ジョージ・オーウェル的(全体主義国家的)な馬鹿げた行動だ」と批判した。
「中国共産党が政治的見解を米国民や民間企業に押し付けようとする傾向が強まっており、これはその一環だ。中国には、米航空会社や国民に対する威嚇と強制をやめるよう求める」と大統領はコメントした。
これに対し中国外務省は5月6日、中国で営業する海外企業は中国の主権と領土の保全を尊重し、中国の法律に従い「中国の国民感情を尊重」すべきだと反論している。
台湾の蔡英文総統は5月22日の記者会見で、中国当局が複数の海外企業に「台湾」に関する表記を改めるよう要求していることについて、「一層反感を買う軽率な行為」だと非難した。
シンガポールで行われた米朝首脳会談について、日韓中へ説明をしているポンペオ国務長官は、6月14日に北京で王毅外相と会談した。共同記者会見では、王外相は米国に対して、台湾問題に関する中国中央政府の立場をあらためて表明した。
中国共産党政府は、米台の接近に神経を尖(とが)らせている。王外相は、最近の米台関係に「深刻な懸念」を表明し、台湾が米中間の問題となることを避けるよう求めた。
中国国営メディアによると、ポンペオ長官と会談した習近平主席は、米国に対して「台湾や経済貿易摩擦など敏感な問題に慎重かつ適切な対応を希望する」と述べたという。
(編集・佐渡道世)
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