米司法省、フォルクスワーゲンを民事提訴
米司法省は1月4日、独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載し排ガス試験と実際の走行時で排ガスに含まれる有害物質量が異なるように操作した問題で同社を民事提訴した。独日刊紙『南ドイツ新聞』によると、米司法省による理論上の制裁金は最大で約460億ドルとなるが、一部では制裁金が900億ドルに達するとの報道もある。
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今回の提訴の中核を成すのは、VWが米国で販売した2009年式以降のモデル約60万台で、2.0リットルディーゼルエンジン搭載車の約49万9,000台と3.0リットルディーゼルエンジン搭載車の約8万5,000台が対象となる。
『南ドイツ新聞』によると、米司法省は、該当車両に対し1台当たり最大3万7,500ドル(最大計220億ドル)、また、当局に届け出をしなかった排ガス制御用ソフトウエアに対して同額の制裁金、さらに、排ガス試験の際に作動する「ディフィートデバイス」と呼ばれる不正操作ソフトウエアに対し1本あたり3,750ドル(計22億ドル)を求めている。これに加え、政府に対する情報提供の義務を怠ったとして不正ソフトウエアの搭載から1日あたり3万7,500ドル(現在までの累計で1億ドル超)を求めている。
■VWの米国販売、15年は5%減
VWの米国法人フォルクスワーゲン・オブ・アメリカが1月5日発表した2015年通期の米国市場における販売は34万9,440台となり、前年に比べ4.78%減少した。2015年12月単月では前年同月比9.11%減の3万956台だった。業界では2016年にVWの米国販売がさらに落ち込むとの見方が強まっている。
同国で6日開幕した国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では、VWブランドの責任者であるルベルト・デイース氏が約3分間、ディーゼル車の問題に言及し、該当する顧客に可能な限り早期に対応策を提示することを約束した。
■10万台以上を買い取りも
VWはドイツではすでに当局から排ガスの数値を規定値内に抑えるための技術的な対策について認可を得ており、1月末から欧州連合(EU)で段階的にリコール(回収・無償修理)を実施するが、米国の排ガス規制は欧州に比べて厳しく、欧州と異なる対応が必要となる。
米国でのリコールにかかるコストや修理工場での時間は欧州での対策を大幅に上回るとみられており、『南ドイツ新聞』紙によると、VW内部では、対象車両の約5分の1に相当する11万5,000台を買い取り(弁償)又は低価格での新車提供で対応する必要があるとみているという。
■内部調査で約50人が関与を申告=独紙
また、『南ドイツ新聞』によると、VWは約2カ月前から、今回の不正ソフトウエア問題に関与した従業員が現時点でその事実を明らかにすれば、解雇を免れ、損害賠償も請求しないとする、大赦(アムネスティ)措置を実施しており、これまでに現場職から管理職まで従業員約50人の申し出があったという。
アムネスティプログラムは独電機大手シーメンスなども事件の原因解明の手段として導入したことがあり、このようなプログラムでは通常、申し出を行った従業員を検察当局に通報せず、保護するという。
photo by AndreasPraefcke
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