フィリピン・違法薬物取締政策の差し止め 最高裁で審理始まる
ドゥテルテ大統領が2016年大統領選で勝利したのは、広く国内に蔓延する『違法薬物撲滅』を公約に挙げたことが、泡沫候補から一気に当選の道を拓いた。
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しかし、その実態は法体系を無視した警察権力の問答無用の行使で、政権発足後に違法薬物関与容疑者の殺害数は現在までに1万人に達していると指摘されている。
このドゥテルテ政権が押し進める強硬な取締政策を巡って、国家警察によって殺害された容疑者家族がその違法性を指摘し最高裁に同政策差し止めを求め、11月21日、最高裁において口頭弁論が始まった。
原告側弁護士は『捜査令状のない警察による自宅訪問は違法である』と糾弾し、『ドゥテルテの進めるこの政策は憲法に基づく生存権や自由権を犯している』と厳しく批判した。
これは同政策の通達で、国家警察に対して『違法薬物に関与した疑いのある人物が警察官の訪問を拒否した場合、ただちに違法薬物取締部門に通報し捜査を行う』とされ、これが警察による大量殺人の温床になっていると見られている。
一方、政府側は『この申し立ては根拠がない』と一蹴し、申し立ての却下を求めている。
ドゥテルテの進めた強硬策は警察が主に行っていたが、捜査の名を借りた警官による一方的殺人が頻発し、国内外から批判を浴び、10月には国家警察を取締から外す措置が取られている。
しかしながら、国家警察は取締復帰に意欲を見せ、大統領もこれは一時的な措置と見ている。
審理を行う最高裁判所は三権分立が保障されているフィリピンの制度の中にあるが、実態は時の政権の思惑が強力に作用し、前最高裁長官はアキノ政権時に弾劾裁判にかけられ失脚している。
その後を継いだのはアキノ大統領指名の女性判事だが、現在ドゥテルテ与党による追い落としが始まっていて、下院の司法委員会に召喚され弾劾へ進むのではと見られている。
このように時の政権に都合の良い判断を下す最高裁の在り方も、三権の独立という観点からおかしいとの批判も強い。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=430
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