2017年10月23日

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住友商事傘下のフィリピン・ミンダナオ島のバナナ会社、告発される

住友商事傘下のフィリピン・ミンダナオ島のバナナ会社、告発される

フィリピンはインド、中国に次ぐ世界第3位のバナナ生産国でその多くは日本へ輸出されている。
【写真はスミフルに対する現地の抗議行動】

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日本のバナナ輸入量は2015年度には約96万トンに達し、その量は全輸入果物の60%を占め、フィリピン産バナナはその内の60%を占めている。
日本の大手商社住友商事の100%子会社である『スミフル』はフィリピン産バナナを扱うために1970年に設立した資本金3億円の会社で、売上高は417億円(2015年3月期)。
  
同社は日本のバナナ輸入総量の3分の1を占め、業界では最大手の会社となっている。
  
このスミフルがミンダナオ島で展開する自社バナナ農園に従事する農民や人権擁護団体などから『搾取』していると告発されている。
  
スミフルは日本の山手線域内に匹敵するバナナ農場を持つが、契約農家も多く、その契約年数は15年から30年に渡る長期であり、スミフルと契約農家との契約時に充分な説明がされず、その契約も自動的に更新されている。
  
また、バナナの買い取り価格決定権はスミフルが持ち、出荷後の生産物に対する責任が農家側が一方的に負っているなどスミフルが有利になっている問題点が指摘された。
  
同様に、スミフルのバナナ農園に従事する約20万人が政府の定める最低賃金以下で働かされていて、契約見直しや労働条件の改善などが要求された。
  
スミフルは自社農園産バナナの品質管理、低温保存、専用船による日本への出荷と生産から物流まで全てを取り仕切っていることを売り物にしているが、これはまた企業の独占、寡占を許すもので、多国籍企業に共通する悪行と指摘を受けている。
  
これはかつて中南米諸国が『バナナ共和国』といわれたように、アメリカの企業による単一農作物生産が国の発展を妨げたことからの反省から来ている。
   
植民地経済という単一農産生産は相変わらず世界各地で続いていて、今回のミンダナオ島のバナナ然り、ネッスルが推進しているインスタント・コーヒー用のフィリピン国内の大増産、あるいはドールなどその動きはしぶとく巨大である。
 
こういった企業が平然と活動できるのも企業が現地の有力者と結びつき、その私兵団による農民への圧力など、不満、不平を押さえる力学が作用していて、企業関係者は利益優先でそういった人権侵害は見て見ぬ振りで、スミフルも例外でないと見られている。
  
また、かねてから指摘されているようにバナナ農園に対する農薬散布は、住民の住む集落にも影響を与えていて、スミフルが日本の消費者向けに安全をアピールしているのも農薬の危険性の裏返しではないかと批判されている。
 
日本からフィリピンに来た観光客がフィリピンの地元産のバナナを食べて『バナナはこんなに美味かったのか』と驚嘆するように、日本に輸出されているバナナはバナナの形をした商品でしかなく、日本の消費者は不幸だとの指摘もある。
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=433

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