フィリピン・ペソ、11年ぶりの安値
IMF(国際通貨基金)の見通しではフィリピンの経済成長率は2017年度が6.8%、2018年度は6.9%とASEAN内では比較的高水準を維持する中、ペソが対ドル・レートで先週末(8月25日)の終値は1ドル当たり51.08ペソとなった。
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これは11年ぶりの安値となり、ペソの安値傾向が止まらないことを示している。
これに対して、フィリピン中央銀行は『為替危機』であることを強く打消し、一時的なものだと楽観視している。
しかし、中央銀行による2017年度第3四半期(7月~9月)の国内企業の景況感統計では低迷している傾向が出ている。
この原因について同行は、ミンダナオ島全域に出されている戒厳令や自然災害、加えて北朝鮮情勢が影響しているとして、第4四半期(10月~12月)にかけて回復すると見ている。
しかしながら、経済専門家からは戒厳令はミンダナオ島域内だけの問題であり、自然災害による影響も毎年のこと、北朝鮮情勢も同様で国内経済の関係は薄いと、何れもペソ安の原因にならないと指摘されている。
長引くペソ安傾向は国内輸出産業に打撃を与えるが、一方、フィリピン経済を支える海外就労者(OFW)や移民などからの海外送金にはプラス面が出ている。
同行発表によると、2017年上半期(1月~6月)の海外からの送金額は154億ドル(約1兆6千900億円)を記録し、これは前年同期と比べて5.5%増となった。
この中央銀行による統計額も正式なルートを通じての送金額で、実際は政府年間予算額を上回っているのではとの指摘もある。
ドゥテル政権の1年目の国家予算額が約340億ドル規模であることを考えると、海外からの送金がこの国を支えているのは明らかとなっている。
しかしながら、今まではOFWの金城湯池であった香港や中東では、より安い労働力であるインドネシアや東アジア地域からの就労者が激増し、安閑としていられない状況となっている。
また、同じく近年急成長しフィリピン経済を支えるコール・センターなどのBPO分野も、アジア域内で英語を使う国が急成長を始め、雲行きが怪しくなっている。
アメリカ経済の影響も強く、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めによる利上げによっては、ドルが下落し、ペソ相場の更なる下落が予想されている。
こういった経済情勢に対して、ドゥテルテ大統領が違法薬物関与容疑者殺害に注ぎ込む熱意の少しでも経済問題に回してくれれば、と経済官庁の嘆きも聞こえる。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=333
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