カンボジアのイオンモールのテナント、高級店から中流店舗へ転換進む
カンボジアの中流階級は増えつつあるものの、同国の消費者の裾野はまだ高級な小売店舗を支えるまでには成長していない。
水祭りの祝日期間中イオンモールには多数のカンボジア家族連れでにぎわった。これによりプノンペンで最もおしゃれな同モールが単なる買い物のために訪れる場所ではなく、訪問する目的地としての位置づけに成功したことが明らかとなった。モールの通路や映画館、フードコートには客の買い物袋があふれたが、客の出足はモール内の小売店舗からは遠のいていた。
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イオンモールは中流階級をひきつける場所となったが、同じ高級ブランドを購入しに週末にバンコク、香港、シンガポールなどへ買い物ツアーに出かける上流階級の心をつかむことには苦心してきた。フードコートの売上高とは対照的にPedro、Mango、Axaraなどの高級ファッションの小売店舗は静まり返っている。
国際的な不動産会社であるKnight Frankの調査によれば、少なくとも12の小売店舗がイオンモールの2014年6月のオープン以来撤退している。これはモールの高い賃料を販売量の少なさが支えきれなかった結果といえる。
しかし2億米ドル規模の日本企業が展開する小売の複合施設が失敗していると見るのは間違いだ。経営サイドからすると、モールはテナントをつなぎとめることに成功しており、国内の他の施設と比較して賃料が最も高いにもかかわらず、稼動率は90%を上回っている。
これは、何軒はすでに破綻寸前である首都の他の二番手のモールと比較してはるかに高い数値だ。さらに正確にいえば、現在イオンモールは自然な転換プロセスの途中にあり、モールやテナントらはカンボジア市場の現実と照らし合わせて正しい方向性に合わせようとしているといえる。
「モールを撤退したほとんどのテナントは高級な小売店舗で、その場所は現在中産階級の世帯をターゲットとしたより手ごろな価格のブランドにおきかえられてきています。つまり市場はまだ高級なブランドに対応しきれていないということを暗に示しているのです」と2015第一四半期Cambodia Real Estate Highlightsの報告書の中でKnight Frankは述べている。
今月空いたモールのスペースには新しいテナントも開店した。国際的なレストランチェーンであるDomino’s、Master Suki、Mee Pokらがモール内に店舗を開店し、数日のうちに日本の焼き肉レストランとデザートのチェーンであるIlao Ilaoも開店の予定だ。また近々小売店のMoやスペインのファッションブランドElisa Cortesもオープンすべく準備を整えている。
店舗の新規参入は転換プロセスの一部とみられ、消費者とモール内の190店舗の正しいバランスを常に見出そうとしているものだ。
オープン当初からモール内に店舗を持つ小売店らは、当初イオンモールは消費者のターゲットを多少背伸びして見積もっていたものの、収益の増加や消費者性向の変化によりカンボジアの中産階級に軌道を交差させたという。
さらにモールへの客足の多さ(報告によれば初年度来店者数は1500万人)は、店舗がこの市場へアクセスできる興味深い特徴の一つでもある。
photo by UpSticksNGo on flickr
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