フィリピンの国公立大学 2018年から全面無償化
学校は出ても就職先がない状態が長年続きながら『教育産業』は興隆する一方のフィリピンで、8月4日、国内112校の国立、州立大学及び国立職業訓練校の授業料などを無償とする法案に大統領が署名した。
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この法案は『高等教育機会均等法』と呼ばれ、授業料などの他に医療費、図書館やパソコンなどの利用料が無償化の対象となっている。
苦学する学生には朗報であるが、この112校に通う学生の内、国民の20%を占める下位所得層出身は12%程度に過ぎず、その多くは富裕層あるいは比較的余裕のある層の子弟との指摘もある。
そのため全面無償化は貧困層の支援にはならないと、政府の財務省など経済官庁を主に反対が表明され、教育界では無償化よりも貧困層への『奨学金の充実』の方が費用対効果は高いとの意見もあった。
この法案の実施により年間約1000億ペソ(約2200億円)が必要となるが、その財源については確固たる裏付けはなく、大統領は選挙中の公約の実現の一つとして実施すると述べていて、人気取りの一面も否定できない。
一方、国内最大の労働組合である『労働組合連合(ALU)』は、今回の措置について労働者子弟の利益に繋がると諸手を挙げて賛成する声明を発表した。
また、上院財務委員長は2018年の予算では今回対象となった学校には既に646億ペソが割り当てられているが、無償化に伴う大幅な支出増は確実に行うと言明した。
なお、今回の措置によって恩恵を受ける112校は、定員を増やすことは禁じられ、この無償化が過去に溯ることはないと関係官庁から釘を刺されている。
対象となる学生の間では歓迎一色で、セブ州立の教員養成では定評のある『Cebu Normal University』(在校生5000人)【写真】も歓迎の声明を出した。
しかしながら、フィリピンの大学は私学の方に力があり優秀な学生は私学に流れていて、今回の無償化はその流れに変化があるのではとの見方もある。
これら有名私大で学ぶのは富裕層子弟が多く流れは変わらず、また一部の有名国公立大学は日本と同じように教育費にお金をかけられる富裕層が多いのも事実で、どこまで貧困撲滅政策の一つとしての無償化の実効性が出るのか疑問視される向きもある。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=418
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