ベトナムのアパレル産業に欠ける「サプライヤーの力」とは?
国内・国際市場共に低迷が予測されているにもかかわらず、ベトナムの最大の繊維企業グループであるVinatexは今年、増益を目標に掲げている。
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6月29日に開催された年次総会においてベトナム繊維公団(Vinatex)は、今年の税引前利益の合計が7490億ベトナムドン(3300万米ドル)となり、対前年9.6%増となる見込みであると発表した。総収入は16兆ベトナムドンとなり、昨年より3.1%減となることが予測されている。
親会社だけでも、今年の収益が1.8兆ベトナムドン、税引前利益が3459億ベトナムドンと、対前年ベースでそれぞれ37.9%、22%増加している。
同グループは今年6%の配当を支払う見込みである。
昨年は、アメリカ、EU、日本など主要市場における輸入成長率が低く、ベトナムのアパレル産業にとっては厳しい年となった。
VinatexのLe Tien Truong社長によると、イギリスのEU離脱国民投票やアメリカ大統領選挙もベトナムのアパレル輸出にマイナスの影響を与えたという。
昨年の年間アパレル輸入高はアメリカで4.8%減少し、日本では1.7%、韓国でも4%減少したと同氏は述べた。
加えて、主要繊維輸出国で(約10%の)大幅な通貨切下げをおこなった一方、ベトナムドンの値下がりはわずか1%に留まり、ベトナムの繊維製品が強豪国と比較して高額になってしまった。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)によってもたらされる利益を見通してベトナムでの生産に投資した外国投資企業の多くは、発注量を減らし、自社工場に戻ってしまっている。
ベトナム企業における、新規顧客や代替の注文獲得に対するプレッシャーは多大なものであるとTruong氏は述べた。
こうした問題にもかかわらず、ベトナムの繊維輸出は2016年、アパレル輸出国の中でも最多となる5.42%の伸びを見せた。
アメリカ(5.03%)、EU(5.78%)、日本(4.9%)など、主要市場における伸び率は前向きなままであった。
Vinatexは、2016年の総収入を対前年1.1%増となる16.5兆ベトナムドン以上、税引前利益を0.9%増となる6835億ベトナムドンと報じている。
積極性のなさ
Truong氏はまた、ベトナム繊維企業の欠点・弱みとして積極性の無さをあげ、新規顧客や市場の開拓に積極的でないと説明した。
地元企業は大手顧客に直接コンタクトすることなく、主に仲介エージェントを通して契約している。
さらに重要なこととして、ベトナム企業はバイヤーの決定に「サプライヤーの力」を働かせることができず、他のサプライヤーに簡単に取って代わられてしまうと同氏は付け加えた。
コーポレート・ガバナンスや地元メーカー間のビジネス上のつながりの弱さもまた、国際市場におけるベトナムの力を弱めている。
Truong氏はVinatexの前半期の実績が「2016年と同等」と説明したが、具体的な数字に関しては挙げなかった。
Vinatexは商工省に対し、300億米ドルの売上高に相当する10%の輸出成長率を今年登録している。
グループにおける国の持ち株を減らし続け、ゆくゆくはVinatexを国家資本投資公社(SCIC)または新設委員会に変えていくことに政府は同意していると同氏は述べた。— VNS
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2929.html
>あわせて読みたい 『ベトナム:縫製産業の輸出は好調、しかし先行きはまだ不透明』
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