欧州委が経済通貨統合深化のたたき台公表
欧州委員会は5月31日、EUの経済通貨統合(EMU)の深化をめぐる議論のたたき台となる「リフレクション・ペーパー」を公表した。英国の離脱決定で揺れるEUの結束を強めるのが狙いで、ユーロ圏共通の予算、財務省の創設などを提唱している。
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経済通貨統合の深化は、欧州委員会のユンケル委員長が3月1日に発表したEUの将来像に関する白書に、選択肢のひとつとして盛り込まれたもの。欧州委は実現に向けたアイデアとして、ユーロ圏共通予算、財務省の創設のほか◇ユーロ圏財務相会合の議長に代わる「ユーロ圏財務相」の創設◇ユーロ圏各国の国債を担保とする証券(SBBC)の発行◇国際通貨基金(IMF)にユーロ圏統一の代表を送る◇欧州版IMFの創設――などを提案した。2025年までの実施を目指し、EU加盟国に議論を進めるよう働きかけている。
EUではギリシャに端を発した債務危機が広がった反省を踏まえ、ユーロ圏の財政、金融統合を模索する動きが活発化し、これまでに銀行同盟創設構想に基づく銀行監督、銀行破綻処理の一元化が実現した。さらなる推進を目指す今回の提案の多くは、すでに欧州委などが提唱してきたものだが、財政統合につながる動きにドイツが強く抵抗して議論が進まず、棚上げ状態が続いていた。
ここにきて欧州委が議論を再活性化しようとした背景には、英国の離脱、内向きのポピュリズム(大衆迎合主義)台頭で揺れるEUの結束を維持し、求心力を回復させたいという意図がある。主要国フランスのマクロン新大統領がユーロ圏の機構改革に積極的で、5月中旬に独メルケル首相と首脳会談を行った際に、共通の予算、財務相の創設などについて支持を取り付けたことも大きい。
欧州委は経済通貨統合の深化を2段階で実施したい考え。第1段階として、銀行同盟の最終段階となるユーロ圏共通の預金保険保証制度(EDIS)の導入など、すでに合意している措置を2019年までに完了させることを目指す。共通予算など新たな構想は、25年までの実現を目標とする。
ソース:http://fbc.de/eur/eur4213/
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