タイの直接投資額で、日本が過去40年で初めて1位から陥落
40年ぶりに投資額で世界3位に。中国のタイシフトが進む一方で、期待される日本の返り咲き
タイの外国直接投資額(2015年1月〜8月)において、日本が過去40年で初めて1位から陥落した。タイ投資委員会(BOI)のヒランヤー・スジナイ長官は25日、前述した期間の一番の投資国がシンガポール(51件、131億バーツ)だと明かし、次いで中国(37件、100億バーツ)、日本(92件、99億バーツ)と説明。「シンガポールが1位だが、中国がシンガポール経由で投資しているため、実質は中国が1位となる」と話し、躍進ぶりを伝えた。
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日本が3位となった理由として、ゾーン制を廃止した2015年の投資恩典制度の改正にともない、投資額が減ったことが挙げられる。しかし、件数自体は今もトップであり、ヒランヤー長官によれば、工場建設など大規模な案件ではなく、駐在員事務所などが増えているという。それどころか、高い技術力を持つ中小企業の進出が増加し、悲観的にはなっていないと自信をうかがわせた。
中国によるタイシフトが目覚ましいのは、周知の通り。2013年、22年間トップを走り続けていた日本を輸出入額で追い抜いた中国は、タイ最大の貿易国になったのを皮切りに、2014年も2兆580億バーツまで引き上げ、2位の日本の1兆8500億バーツに大きく差をつけた。
とはいえ、なかなか不況から抜けられないタイが、日本の投資を望んでいるのも事実。今年のBOI申請件数は219件(前年同期407件)と半減し、投資額は268億バーツ(同2391億バーツ)まで落ち込んだ。そのため日タイ企業の交流イベントでソムキット経済担当副首相は、永住権や土地の購入権も含めた破格の恩典に言及。プラユット暫定首相は「首相、CEOに会う」と題した日系企業の幹部と会談し、政府への要望を聞くなど、“開けた政府”をアピールした。今週のタイローカルニュースでも触れているが、BOIはもはやBOI非認可の企業にも優遇措置を適用することも示唆し、外資獲得のための施策は枚挙に暇がない。
少子化による労働力不足、人件費の高騰、中国と日本の狭間、そして政情不安……多くの課題を抱えるタイから、日系企業はメリットを享受し続けることができるのか。今後も注視が必要だろう。
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