EU27カ国が「ローマ宣言」採択、先行統合推進を表明
英国を除くEU加盟27カ国は25日、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)を設立する条約(ローマ条約)の締結60周年に合わせて、ローマで特別首脳会議を開き、EUの結束維持を謳う「ローマ宣言」を採択した。
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EUが英の離脱など危機に直面する中、加盟国が結束を深めて、欧州統合の歩みを止めないことを誓う内容。焦点となっていた統合のあり方については、統合のスピードを多様化するため、一部の加盟国だけで先に進むことを容認する「先行統合」を推進する方針を打ち出した。
EUでは英国が6月の国民投票でEU離脱を決定。これを機にフランスなどで反EUを掲げるポピュリズム(大衆主義)が台頭している。このほか、難民受け入れの分担をめぐる中東欧諸国とドイツなどの亀裂が拡大。経済は力強さを欠き、ギリシャでは債務危機が続く。テロの脅威も高まっている。
ローマ宣言の採択は、こうした状況に対応し、EUの求心力を回復させることを念頭に置いたもの。「EU未曾有の困難に直面している」と強い危機感を示した上で、加盟国が結束を深め、難局を乗り切る必要性を強調した。
ローマ宣言で最大の注目点は、今後の欧州統合の進め方だ。欧州委員会のユンケル委員長は1日発表したEUの将来像に関する白書で、◇現状維持◇通貨統合など単一市場に絞って統合を深化させる◇先行統合の推進◇分野を絞り込んで効率的に統合を進める◇あらゆる分野で加盟国の結束を強める――という5つの選択肢を提示。ドイツ、フランスなど主要国は、加盟国の足並みがそろわなくても、特定の分野について賛同する国だけで統合を先に進める先行統合論を支持していた。
採択された宣言文は、「我々はともに行動する」としながらも、「必要に応じて、異なるペースと深度で同じ方向に進む」と明記し、状況によっては一部の国だけでも統合を進めるのが望ましいとの考えを示した。
先行方式の統合は、これまでにも単一通貨ユーロの導入などで採用されている。ローマ宣言は、欧州統合の歩みを停滞させないため、これをさらに積極的に取り入れることを意味する。ただ、主要国が軸となる先行統合には、中東欧諸国などが取り残され、分断が生じるという懸念も出ている。このため、ローマ宣言の採択をめぐっては、ポーランドが直前まで抵抗。最終的には全会一致での採択となったものの、しこりを残す結果となった。
ソース:http://fbc.de/eur/eur4023/
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