ドイツ、車両走行規制の政令案発表、NO2規制の遵守策で自治体に選択の余地
ドイツにおける、エンジン車に対する風当たりが厳しくなりそうだ。二酸化窒素(NO2)や二酸化炭素(CO2)など有害物質の排出量が増え、環境規制・目標に抵触しているためで、バーバラ・ヘンドリックス独環境相は17日、自動車の走行規制に関する政令案を発表した。
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自動車の燃費・環境性能自体は向上しているものの、有害物質の排出総量は増え続けており、電気自動車(EV)など環境対応車が普及しない限り、抜本的な事態の改善は難しい状況となっている。
欧州連合(EU)は、2008年に採択された「環境大気質に関する新指令」で、NO2や二酸化硫黄(SO2)、粒子状物質(PM10)、一酸化炭素(CO)など、人体に悪影響をもたらす大気汚染物質の制限値を設定し、各国当局に順守を義務づけている。
このうち車両などが主な排出源であるNO2に関しては、2010年1月が達成期限となっていたが、ドイツでは約80の都市が達成できない状況だ。
これを踏まえて、ヘンドリックス環境相は同政令案を作成した。市当局がNO2基準を達成するために導入できる政策として…(1)環境性能に応じて白と灰色の2種類シールを新たに導入し、環境性能が低い灰色シールの車両の走行を制限する 、(2)走行可能な車両をナンバープレートが奇数か偶数かのどちらか一方に制限する、(3)ガソリン車に比べてNO2排出量が多いディーゼル車の走行を制限する…が盛り込まれている。
各都市の事情に応じてこれらの措置を組み合わせて実施することも可能だ。
一方、独連邦統計局が14日発表したガソリン車とディーゼル車の2015年のCO2排出総量は、1億1,230万トンとなり、08年に比べ4.6%増加した。
走行100キロメートル当たりの燃料消費量は平均3.9%減少したものの、車両登録台数と総走行距離の拡大、高馬力車の需要増加が響いて燃費改善効果が打ち消された格好だ。(表を参照)
車両の平均出力は105.7キロワット(kW)で、08年の96.4kWから9.6%増加した。馬力が大きいSUV、オフロード車の販売が増え続けていることが背景にあり、ディーゼル車では100kW以上の車両の割合が08年の30%強から50%強へと大幅に上昇した。
この傾向はガソリン車でもみられ、51kW未満の車両の割合は22.1%から15.3%へと低下した。
平均出力が仮に08年と同水準にとどまっていれば、国内車両総数と総走行距離の増加にもかかわらずCO2の排出量は計算上、930万トン(8.7%)減少していた。
エンジン性能の向上だけでは有害物質の排出削減効果に限界があることを踏まえ、ヘンドリックス環境相は先ごろ、ガソリン車とディーゼル車を廃車処分したうえで環境対応車を購入する消費者などに補助金を支給することは、将来的に考えられる政策だとの見解を示した。
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