【写真はマリア・レッサ氏の2011年当時】
レッサ氏はマニラ市生まれの58歳で、現在フィリピンにて2012年創設のオンライン・メディア『ラップラー』最高責任者を務める。
両氏の受賞理由について、ノーベル賞選考委員会は『フィリピン、ロシア共に政権による報道の自由が圧迫されている中で、平和と民主主義を守るために果敢な戦いを続けているジャーナリスト』と両氏を称えている。
フィリピンはドゥテルテ政権が発足してから人権がないがしろにされ、それに伴って政権批判をする報道機関やジャーナリストへの弾圧が激しくなっている。
フィリピンには民間の2大テレビ全国ネットワークがあったが、政権から距離を置いていたネットワークは会社のスキャンダルを理由に電波が停止され、今も1年以上も止まったままである。
これについて政権側は営業の認可は議会が決めることで関知していないと嘯いているが、一部を除いて総与党化している議会の現状では何でも可能になっている。
また、ドゥテルテ政権批判派であった英字新聞大手紙も会社経営のスキャンダルを持ち出して恫喝し、一時はドゥテルテのスポンサー財界人に売却される寸前にまで行った。
こうしたドゥテルテ政権に敢然と立ち向かっているレッサ氏率いるラップラーだが、政権に使嗾された人物が過去の記事を巡って名誉棄損裁判を起こすなどあったが、こういった訴訟は嫌がらせで後に取り下げられている。
しかし、政権側の弾圧は続き、脱税容疑などを含める嫌がらせ訴訟を7件抱え、今回のノーベル平和賞受賞式にフィリピンから出国するのは難しいとされている。
もしそうであれば、アジアの民主国家を自認するフィリピンはドゥテルテ政権になって独裁国の中国と変わらないことを内外に示しそうだ。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=536