リトアニアは6月、台湾に2万回分のアストラゼネカ製の新型コロナウイルス(中共ウイルス)ワクチンを寄贈した。そして、10月までに台湾で代表機関(大使館に相当)の設置を目指している。さらに、同国政府は5月、中国と中東欧17カ国の経済協力枠組み17+1から撤退した。
報道は、「リトアニアなどかつて旧ソ連の支配下にあったバルト三国には、北京と距離を置くための、彼ら独自の理由がある」と指摘した。
「理由の1つは、貿易や投資の面における中国への依存度の低さ。 欧州諸国の中でも、バルト三国は中国からの直接投資が最も少ない。国内総生産(GDP)から見れば、リトアニアにおける中国の直接投資はわずか2.1%だ。ラトビアとエストニアはそれぞれ3.3%と3.6%になっている」とした。
デンマークのシンクタンク「デンマーク国際問題研究所(DIIS)」の外交専門のジェシカ・ラーセン(Jessica Larsen)研究員によれば、「中国への経済の依存度の低さが、バルト三国にとって交渉時、有利な要素になっている」「これらの国は旧ソ連に抑圧されてきた歴史があるため、民主と人権のために声を上げることを重要視している」と指摘した。
ルーマニア・アジア太平洋研究所(RISAP)のアンドレア・ブリンザ(Andrea Brinza)副主席は、「依存関係がなければ、北京は経済的手段を用いてリトアニアを罰することができないことを意味する」「リトアニア政府には失うものは何もない」と述べた。
リトアニアは台湾のWHO参加を支持し、中国新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の状況を「ジェノサイド」と認定する決議を可決した。
リトアニアの経済イノベーション大臣であるアウシュリネ・アルモナイテ(Aušrinė Armonaitė)氏は6月、「中国共産党の制裁を恐れない」「リトアニアは中国共産党の香港、チベット、台湾での強硬姿勢を無視してはいけない」とドイチェ・ヴェレ(DW)の取材で発言した。
また、ラトビアとエストニアも、これまでチベットやファーウェイの問題で中国に立ち向かう姿勢を見せてきた。
「中国とロシアの軍事的・経済的に緊密な関係は、ロシアを主な敵と見なしているバルト諸国が、歓迎していない。また「17+1」枠組みでは、実現された約束が非常に少ないため、三カ国は中国に対して、ますます幻滅している」とDIISのラーセン氏は指摘した。
オンラインニュースマガジン「The Diplomat」誌は、リトアニアが長年、共産主義政権に抑圧され、独立を求める過程は台湾と似ていると同国の親台姿勢を分析した。
中国は、台湾との友好関係を築くリトアニアを「夜郎自大」(自分の力を知らず威張っていること)と批判し、「対抗措置をとる」と脅かしている。
台湾問題を研究するオーストラリア国立大の宋文笛氏は、リトアニアへの制裁措置は、欧州全体の反感を買う恐れがあると指摘した。
「中国が過剰に反応すれば、他の国をますます遠ざけることになる」と述べた。
(翻訳編集・李凌)
ソース:https://www.epochtimes.jp/p/2021/07/76253.html