フィリピン:フィリピン航空(PAL) 倒産の危機
ここ数年赤字の続いているフィリピン航空(PAL)は、新型コロナによる航空需要の減少で更に打撃を受け、2020年度決算では718億ペソ(約1500億円)の赤字を出した。
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これは前年の102億ペソ(約210億円)の赤字から7倍以上も増え、この結果債務総額は2020年末で3000億ペソ(約6200億円)にも膨れ上がっている。
2021年第1四半期(1月~3月)も86億ペソの赤字を計上し、新型コロナによる航空需要は回復せず黒字化への道はまだ遠い。
債務額の内訳は航空機リース1520億ペソ、短期1200億ペソ、長期325億ペソとなっていて、債務超過額も2021年3月末で840億ペソに達し、PALの倒産説も業界では流布される始末。
特に航空機リース代の債務不履行は債権者が現在運航中の航空機を差し押さえる措置に出る恐れも生じ、このため、PALは防御措置としてアメリカ連邦破産法第11条(日本の民事再生法に近い)適用を求める動きに出ている。
申請先はニューヨークにある連邦破産裁判所と見られ、申請は6月29日と見られているが7月にずれ込むとの見方も出ている。
申請が認められると裁判所命令で、債権の取り立て停止、債務に関わる訴訟の忌避などが可能になり、とりわけ航空機リース債務が棚上げになるので事業は継続出来る。
ただし、債権者側と負債の整理や契約見直しの協議、並びにPALの再建計画が原則4ヶ月以内に確定することが必要で不確定要素はまだ強い。
PALには全日空(ANA)も出資し運航便もシェアしていて、この他の外資系企業の債権者の合意を求めるようになるが、PALはワクチン接種によって新型コロナが収束され旅行制限が緩和されれば業績は回復し、第11条適用は数ヶ月以内で終了すると目論んでいる。
しかし、国内のワクチン接種者は伸びず、大統領がワクチンを拒否する者は逮捕、刑務所へ送るなどと恫喝しているような状況では、PALの考えも皮算用ではないかと厳しい目が向けられている。
なお、再建策についてPALは現在運航する97機の2割程度の削減をし、国内の不要な路線の廃止、ロンドン、ニューヨークなど不採算長距離国際便の停止などが挙げている。
しかし、PALに沁みついたフラッグ・キャリア―としての殿様商売的体質を改善しない限り、他社との競争力を失っているため回復への道は遠いとの指摘が強い。
【写真は成田空港に駐機する成田―セブを結ぶPALの直行便】
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=417
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