【写真はフィリピンの典型的な小売りが集まるセブ市の野菜市場風景】
しかし、自由化法といっても外国資本100%でフィリピンに進出をする場合、最低払い込み資本金250万ドルの義務があり、障壁となっていた。
例えば、日本食レストランを日本人が開業したい場合、この法律によって小資本で開業する飲食業にとっては法外な資本が必要になり、やむなくフィリピン側51%、日本側49%という条件で合弁を組んで事業を始めることとなりトラブルも多かった。
しかも他のアセアン諸国と比べても、保護主義が強く外国資本の呼び込みに問題があるとされ、このほど上院及び下院で改正案が作られそれぞれの議会を通過した。
ところが最低払い込み金を巡って上院は100万ドル、下院は20万ドルとなっていてその大きな違いが問題になり調整が付かないことから、議会は改正案を成立させる気がないのではとの指摘も出ている。
特に上院は当初30万ドルに引き下げていたのに、フィリピンの小売業団体などのロビー活動によって100万ドルに引き上げていて、来年に行われる選挙目当ての動きと批判されている。
こういった動きに対してフィリピン日本商工会議所が加盟する外国人商工会議所連盟(JFC)は払込金の少ない下院案を支持すると表明している。
フィリピンの小売業は『サリサリ・ストア』に象徴されるように小資本が多数を占め、この零細な業態を保護するために規制をかけているのだが、外国資本が目指す小売りとサリサリの小売りとは従来から住み分けられていて、規制を緩めて互いの影響はなく、むしろ市況が活発になるとの指摘もある。
今後、上院と下院で自由化改正法案の違いをすり合わせることになるが、来年に迫っている選挙のために議員も浮足立っていて不成立の可能性が強いと見られている。
なお、強固な保護政策によりフィリピンへ進出する外資の小売業への投資案件は毎年2件程度に留まっていて、日本の大手小売業であり、東南アジア進出著しい『イオン』でさえも進出していない。
一方、フィリピンの小売り業最大手『SM』はアジア太平洋地域で小売業売上高64位に入り、フィリピンからは同社を含めて4社が入っているが、これからフィリピンの小売業界の器はまだ小さいことが分かる。
なお、フィリピンの鎖国状態を示すものとして、外国人の土地所有完全禁止規制があり、これも一定程度は認めるという法案が検討されているが成立は難しい状況である。
このため、外国人個人がフィリピンに土地を買い、家を作っても法律的にはフィリピン人の名義にしなければならず、フィリピン人配偶者とかその身内にするが、結婚生活が破綻し揉めてもそれらは名義人の物となってしまう。
このため裁判に訴えることが頻発するが、これは事の是非ではなく法律によるためで裁判に訴えるだけ無駄、弁護士を潤すだけというのが現状である。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=416