各種世論調査機関は正副大統領候補に相応しい人物を調査という名目で発表しているが、中には候補陣営の意を汲んだ数字が出る様に仕組まれた調査もあって、有権者に長い時間をかけて名前をすり込む高等な戦術を展開している例もあり、冷静な判断が求められている。
最近でもフィリピン大を中心にした調査グループが1月26日~2月1日の間に、18歳以上の成人1200人を対面式で調査した正副大統領候補の人気度を公表した。
これによると1位は現大統領の長女サラ・ダヴァオ市長で、22%の支持を集めた。
同人は他の民間機関の調査でも26%を集め1位となっているが、本人と父親は出馬に関しては否定していて、これは話題性を最後まで引っ張る戦術ではないかと指摘されている。
2位はポー上院議員の13%で、同人は前回の大統領選に出馬し、下馬評では当選は固いといわれていたが、ドゥテルテの出馬によって急激に支持を落とし落選。
3位は12%を得たパッキャオ上院議員とマルコス元上院議員で、パッキャオはボクシングの英雄として知名度は抜群だが、政治の哲学、見識は今一つという評価もあるが、それを言ったらフィリピンの政治屋はほとんど落第となる。
マルコスは1986年2月25日にフィリピンから追い出された独裁者マルコスの長男で、前回副大統領に出馬したが小差で次点となり、2022年は一気に大統領を狙い豊富な資金力もあって候補者が乱立し票が割れれば有利という見方もある。
次にモレノ・マニラ市長の11%と続き、同人は俳優でもあり、フィリピンは政界と芸能界は繋がっていて、アクション俳優であったエストラダのように大統領になった者もあり、有権者も選挙を人気投票と見ている者も多く、芸能人の政治屋は国政、地方自治体にかなり多い。
6位に現副大統領のロブレドが5%で入るが、同人は去就を決めていないものの、前大統領アキノを擁した所属する党は党勢が前回選挙で沈んでしまったにも拘らず、ロブレドを大統領候補にすると決め、落選覚悟で党のために出馬するようだ。
地域別で見るとサラ・ダヴァオ市長は地盤とするミンダナオ島で強く48%を得て、セブなどのヴィサヤ地区でも20%を獲得している。
セブ市では早くもサラの支持を訴える広告が歩道橋に出現し、これは市当局によって撤去されたが、このようにサラ陣営は下から支持を得て出馬する形を取って立候補する路線を着々と進行中。
一方、首都圏ではマルコスが強く18%、サラは17%となっていて、大票田である首都圏の動向が選挙戦を左右させそうな雲行きである。
【写真はパッシグ川沿いにある大統領府のあるマラカニアン宮殿】
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=518