その事業の中で、総額3556億ペソ(約7500億円)が見積もられているフィリピン初の地下鉄の工事は進捗中で、2月初めに工事に必要なトンネンル掘削機が日本からフィリピンに到着した。
この地下鉄は全長36キロ、首都圏ケソン市とパラニャケ市間を結び、13ヶ所の地下駅と地上駅4ヶ所の計17駅を予定し、交通不便で不詳であったマニラ国際空港にも駅が出来る。【図参照】
これらの事業費は国際協力機構(JICA)を窓口とした日本の政府開発援助資金(ODA)が使われ、そのために日本企業が工事、車両などを受注出来る典型的な『紐付き事業』となっている。
1期工事は清水建設、フジタ、竹中土木とフィリピンの大手企業の計4社が510億ペソ(約1050億円)で契約済みで、トンネル掘削機は1基40億ペソ、それを25基使用する。
また、同地下鉄に使用される車両240両も日本の企業の納入が入札を経て決まった。
受注したのは住友商事とJR東日本の子会社である総合車両製作所の連合で、8両30編成計240両、納入額は575億円、2027年までに全車を引き渡す予定。
納入される車両は東京の山手線などに使われている最新のステンレス車両で、一編成で2000人以上が運べる。
同連合は昨年7月に日本のODAによる首都圏南北通勤鉄道事業にも8両13編成、計104両を250億円で受注し、2023年2月までに引き渡す予定。
また、首都圏鉄道(MRT)3号線では三菱重工とそのグループ会社が改修工事を請け負っている。
このように首都圏における鉄道事業は日本のODA=税金によって活発で、実績を作りたいドゥテルテ政権も退任する2022年までの部分開通を強制している。
こういった姿勢からマルコス独裁政権時代に行われた巨大プロジェクトに関与した、商社を始めとする日本企業によるリベート商売(賄賂)の悪夢を想い出させると指摘する識者もいる。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=409