感染者ペースは3日当たり1万人の発生であったが、今は2日当たり1万人を超えるハイペースになっていて、戒厳令並みの防疫措置を取っても感染拡大を押さえることは困難な状況となっている。
この感染爆発に対して大統領以下、防疫強化を図っているが3月半ばからの外出禁止措置に違反して拘束されたのが30万人を超したように、国民の間に新型コロナ・ウィルスに対する緩みと住環境が感染を押さえられない一因となっている。
強固な防疫措置を取って経済活動は落ち込み、国民の生活逼迫は著しく、そのために政府は貧困層向けに現金や物資を配ったが、既にコロナ対策への資金は枯渇し他省の予算や政府プロジェクト予算を流用する事態になっている。
今や軍や警察を動員して国民を威嚇、制圧するしか手のない政府だが、8月10日、ドゥテルテ大統領はテレビで『ロシアが開発したワクチンをフィリピンに導入する』と発表した。
ロシア製のワクチンは『スプートニクⅤ』【写真】と命名され、世界で最初に開発された新型コロナ・ウィルス・ワクチンとして同国大統領が世界に向けて大々的に宣伝を行っている。
このロシア製ワクチンはモスクワにある国立の疫学・微生物研究所と国防省が開発したものだが、生産に入るのは9月から、10月よりロシアの医療関係者や教育関係者を優先的に接種を始めるとしている。
しかしながら、医学界からはワクチン臨床試験の実施状況のデータが開示されていないなど開発プロセスと安全性に疑念の声が挙がっている。
中国やロシア寄りと見られている世界保健機構(WHO)もロシアに対して、開発されたワクチンが国際的な基準を遵守しているのかどうか問い合わせを行っているが、明らかにはなっていない。
こういった疑念の中、ドゥテルテ大統領は最初のワクチンを自らに接種する実験台になると公言し、これはロシアの大統領が身内にワクチンを接種したと発表したことと軌を同一にしていて、安全性を担保しようとしたパフォーマンスで安全を裏付けるものではないと専門家からは一蹴されている。
このワクチン開発は各国が国の威信をかけて開発を急いでいるが、政治的思惑ばかり突出して本当に効果があって、安全であるかどうかは未知であり、特に今回の新型コロナ・ウィルスは次々と変異を起こしていて有効え安全なワクチンを開発できるのは数年かかるとの指摘もある。
それでも、藁をもすがりたいドゥテルテは、ロシア製のワクチンがクリスマス前に調達出来れば最大のクリスマス・プレゼントだと前のめりになっている。
こういったフィリピン側の状況を見透かして、中国政府も開発出来たワクチンをフィリピンに優先的に回すと述べているが、フィリピンがデータを取るための『人体実験国』にされると専門家から批判されている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=505