ジャカルタの新規感染者数は8日に308人を記録し、初めて300人を突破した。さらに11日には359人を記録しており、アニス知事は「1週間で3回も最多を更新した」と危機感を示した。
また1週間あたりの陽性率(検査人数に対する感染者数の割合)の平均が、6月11~17日に3・1%、同18~24日に3・7%、同25日~7月1日に3・9%、同2~8日に4・8%と、徐々に増加していると説明。12日には10・5%まで上がり、「(この急増は)より厳格に制限を守らなくてはならないという『警告』だ」とした。
アニス知事はこれまでの会見で、陽性率が10%未満で安定することを緩和の条件として挙げてきた。州政府の統計によると、10%を超えるのは4月26日以来、77日ぶり。この陽性率が続けばPSBB開始初期の状況に戻ったとも言え、再び制限を厳格化せざるを得ないとの立場だ。
ただ、PSBBの緩和自体が経済の行き詰まりを背景にしたものであり、実際に厳格化に踏み切れるかは不透明だ。
民間調査機関LSIデニーJAはこのほど、6月8~15日、ジャカルタ特別州や西ジャワ州、バンテン州、中部ジャワ州、東ジャワ州、バリ州、北スマトラ州、南スラウェシ州の計約8千人に対して行った面接形式の調査で、回答者のうち74・8%が新型コロナによる経済状態の悪化を訴えたと発表した。
特にPSBB実施期間中に、低所得者で生活が困窮した場合が多く、再び経済活動を制限すれば「社会的・政治的な危機につながる可能性がある」と政府に提言している。 (大野航太郎)