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インドネシア:登校再開目標は8月25日 JJS 山口満校長

 
帰任した米村博司前校長に代わり、4月7日に着任する予定だった。だが、文科省から3月末に届いたのは「派遣は当分見合わせ」との指示。新型コロナウイルスの感染拡大で、ほかの新任教員とともに待命の身となった。
 
「刻々と変わる情勢に対応を決断する必要があった。が、本当にこれでいいのか。私が日本で決断していいのか。正直に言えば、迷いもあった」。足止めとなったこの約3カ月の間、もどかしく、自問自答を繰り返す日々が続いた。
 
そんな山口校長を支えたのは、中学部の大平一義教頭、小学部の山本千明教頭らJJSで待ち受ける先生たちだった。判断に必要な情報は逐一オンラインで上げてくれたという。
 
感染拡大を防ぐ学校活動の調整はあっても、教育に空白を作ってはならない。逆境の中で5月18日にはオンラインによる入学式と始業式、そしてウェブ会議アプリを使った双方向のオンライン学習も軌道に乗せた。
 
「赴任待ちの新しい先生たちも日本からオンライン参加してくれ、言わば日本とジャカルタが一体化。できる学習支援を精一杯やってくれていると思う」
 
だが、人を育てる教育は対面環境あってこそ。まして在外日本人学校なら、保護者の考えを知り、実際の学校環境を見なければわからない事も山ほどあった。
 
ようやくジャカルタ入りが実現しても、待っているのは2週間の自宅待機。しかし、山口校長はここで大きな決断をした。図書館と校庭の開放。「友だちと直に話し、遊ぶ喜びを知る。大切な事だと考えた」からだ。開放は午前中に限られるが、それでも笑顔を取り戻す児童生徒たちを見れば、「ああ、よかった」と誰もが思う。
 
学校運営上の次なる目標は、登校再開の実現だ。8月25日が当初あった2学期の開始予定日。この日を当面の登校を再開する目標とし、準備を進める。
 
現地校は7月中旬に再開を模索したが、ジャカルタ特別州政府これを見送った。ならば、なおさら児童生徒の安全を考えて拙速は避けるべき。ただ、先が見えない状況が続くのは良策とはいえない。日本国内には来校時期を見極めようとする700人前後の児童生徒もいる。どうするか。
 
「当面の目標を定めなければ、児童生徒も学校も家庭も、次の段階に備える準備ができない。7月末に再度見直しも行うが、現状では8月25日の登校実現を目指して準備を進める」
 
長身の山口校長は福井県出身。専門はバレーボールだ。小学校の教員を振り出しに県内経験を積み、小さな村の教育委員会で、子どもたちと村民の体力向上に尽力したこともある。
 
40歳を前にしたソウル日本人学校への赴任も貴重だった。JJSへは文科省の「在外教育施設シニア派遣教師」の立場。長い教育者生活で得た経験のすべてを注ぎ、「グローバルな感覚を持つ人材を育てたい」という。(長谷川周人)
 
ソース:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/52209.html