国内のネットユーザーがSNS上で、山西省陽泉市商業銀行が資金難に陥り、同行の頭取が一部の資金を持ち出し、行方をくらましたと投稿した。これを受けて、6月16日、一部の顧客が陽泉市商業銀行にかけつけ、預金を引き出そうとした。17日、陽泉市商業銀行、陽泉市政府と中国当局の銀行保険監督管理委員会は共同で声明を発表し、「銀行は正常に営業しており、資金も充分にある。ネット上のデマを信じないように」と伝えた。陽泉市警察は、ネット上に投稿した市民5人に対して「厳粛に処分を行った」と公表した。
一方、河北省望都県警察は6月20日、市民2人が「虚偽な言論で、市民の不安を煽った」として摘発した。2人は、同県の保定銀行について、「倒産の恐れがあるため、預金を早めに引き出したほうがいい」とネット上で呼びかけた。
2018年に米中貿易戦が始まってから、中国経済は急速に減速した。景気悪化のため、企業が次々と倒産し、金融機関の不良債権が拡大した。
昨年、地方銀行の、河南省洛陽市の伊川農村商業銀行、遼寧省営口市の沿海銀行、内モンゴル自治区包頭市の包商銀行、山東省済南市の恒豊銀行などには、銀行の破たんを懸念した市民らが押し掛けた。その後、中国当局がその一部の銀行を接収したことで、騒ぎは収まった。
中国当局は今年7月以降、河北省、浙江省、深セン市の銀行で、高額な預金引き出しの事前予約制度を試験的に実施すると報じた。中小銀行での取り付けを回避する対策だとみられる。
ポータルサイト「新浪網」6月12日付によると、中国人民銀行(中央銀行)の通知では、個人の預金口座について、河北省の市民が10万元(約152万円)以上を、浙江省の市民が30万元(約455万円)を、深セン市の市民が20万元(約303万円)をそれぞれ引き出す場合、事前に申請し登録しなければならない。今年7月、河北省は最初にテストを始める。浙江省と深セン市は10月からテストを行う。テスト期間は2年。
また、公的預金口座の場合、引き出し金額が50万元以上なら、事前に申し出をしなければならないという。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が拡大していた4月にも、甘粛省の地方銀行、甘粛銀行で取り付け騒ぎが発生した。
(大紀元:翻訳編集・張哲)
ソース:https://www.epochtimes.jp/p/2020/06/58476.html