政府内では首相のほか、ハンコック保健・社会福祉相も前月に感染したことが判明している。 新型コロナ大流行で世界が危機的な事態に陥っている中で、首相と保健相という2人の感染者が出た英内閣が、どのように運営されていくのかが改めて問われている格好だ。
首相官邸は「主治医の助言により、首相は今夜、検査のため入院した」と発表。「ウイルス検査で陽性反応が出てから10日経っても症状が続いているためで、予備的措置だ」と説明している。
複数の専門家によると、首相が一時的に「離脱」した過去の事例は少ない上にそれぞれ事情が異なっており、正式な「プランB」、つまり閣僚の首相権限継承順位は確立されていない。
シンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントのキャサリン・ハドン上席研究員は「この種の事態は経験がなく、これまでは、こうした観点から考える必要はなかった」と話した。
米国であれば、大統領が死去するか職務不能になった場合、副大統領が直ちに大統領職務を遂行することが定められている。一方で英官邸は、必要ならラーブ外相が首相代理を務めるとすでに表明しているものの、内閣において首相にもしものことがあった際の正式な職務代行者というものは見当たらず、内閣執務提要(キャビネット・マニュアル)にもルールは設けられていない。
<秘密にされたチャーチル首相の発作>
1953年6月には当時のチャーチル首相が執務中に心臓発作に襲われた。彼の病気は極秘とされ、事実を知らなかった閣僚もいた。
その後チャーチルは医者が驚くほどに回復し、首相官邸に戻って2カ月後に再び内閣を指揮している。
もっと最近では、2000年代前半に首相を務めたトニー・ブレア氏が2回心臓の治療を受け、いずれも短期間で職務に復帰した。もしブレア氏が職務不能になった場合は、副首相だったジョン・プレスコット氏が、新首相の正式選出まで代理となることが決まっていたという。
ジョンソン氏が職務を遂行できないことを示す要素はない。ジョンソン氏は感染が確認されて以降、テレビ会議を通じて感染前と同様に仕事を続けている。
しかし12年1月から14年9月まで国家公務員担当相を務めたボブ・カースレイク氏は、先月ジョンソン氏の感染が確認された際に、今は目に見える首相の指導力が必要とされているだけに、たとえテレビ会議で職務ができるとしても、何らかの問題が発生しかねないと指摘。政務担当者は、上級閣僚が職務を果たせなくなった場合に何が起きるのかを把握しておく必要があると指摘した。
カースレイク氏によると、その意味では、もしも政府の政策調整を任されているゴーブ内閣府担当相がいなくなった場合は、大きな痛手になる。その上で「ゴーブ氏は全ての要であり、彼が何の理由であれ、病気になってしまうと、誰がその役割を担うのか」と懸念を口にした。
ソース:https://www.epochtimes.jp/p/2020/04/54358.html