SAVASAは全37ヘクタールを用地に、2030年までに最大2500戸を建設、人口1万人規模の街づくりを計画する大規模事業だ。パナホームが国内で戸建て住宅の建設・販売を本格化する初の事業となる。
住宅にはパナソニックの空気清浄システムを標準装備、また街には監視カメラ(CCTV)によるセキュリティシステムを構築するなど、同社技術の活用を特徴の一つとする。PHDIディレクターの元岡隆哉さんは「健康やセキュリティに対してのニーズが(インドネシアで)高まっている実感がある。先陣を切って取り組んでいく」と意気込む。
だが昨年は「大統領選による買い控え」がみられ、販売に苦戦した。販売を担当するパナソニック・ホームズ・ゴーベル・インドネシアの佐藤将英さんは「(月10戸ペースの販売を目標にしているが)モデルルームに人が集まらず、4~6月はその半分ほどにとどまった」と振り返る。
しかし「ここ数カ月は手応えを得てきている」(元岡さん)。住宅は当初、延床面積64平方メートルと同84平方メートルの2タイプを9億7800~12億ルピアで販売していたが、昨年12月までに同48平方メートルに狭め、価格を7億~9億5千万ルピアと引き下げたタイプを発売。これが顧客の支持を得た。
一方でBタイプ以上の広さを求める声も多く、2月29日には同101平方メートル、同137平方メートルの2タイプを18億~25億ルピア発売した。面積を両極化させ、市場の反応を探っていく。
2月29日までに124戸を発売しており、うち80戸が売却済み。現状10億ルピアを下回る住宅は売り切れているという。顧客の反応を見つつ、今後の開発地域での住宅サイズ、構成比を考えていく。
また29日の新タイプ投入に伴い、オプションとして空気清浄システムの高性能版の提供を開始。マーケティングギャラリーにデモルームを設け、ウイルス対策や省エネでの利点を訴える。パナソニックQAFL室の菅沼一郎さんは「反応が良ければ標準装備に入れることも考えたい。一度市場に問うてみる」という。
元岡さんは「まだ(サバサには)ミニマムな技術しか導入できていないが、パナソニックの実証実験の場とし、これから進化させていく」と話す。
生活者へのサービスでも模索はある。佐藤さんは「居住者間でのカーシェアリングの可能性なども考えている。一緒に街をつくる仲間作りが重要だ」と話した。(大野航太郎、写真も)