インドネシア:新型コロナから経済守れ
インドネシア経済は2019年、減速に転じた。実質国内総生産(GDP)の伸び率を見ると、昨年は5・02%と前年の5・17%を下回り、政府目標の5・3%に達していない。四半期ベースでは19年第4四半期の伸び率は前年同期比4・97%で、5%を切ったのは16年の第4四半期以来だった。
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追い打ちかけるように、新型コロナウィルスの感染拡大が続いている。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が関係閣僚に対し、中国との貿易を中心に経済への影響を精査するよう指示したのも当然だろう。
これを前に大統領は、新型コロナウイルスに対する拡散防止策として、中国との往来を禁止した。さらに中国市民のビザなし渡航と、到着ビザの発給を差し止め、農産物の輸入も一時的に中止している。
インドネシアは19年、中国から非石油製品やガスなど445億ドルを輸入。これは全輸入量の約30%に相当する。渡航者も1~11月の間に190万人の中国人が訪れており、これはインバウンド全体の13%を占めている。
もっとも、今までのところインドネシア国内で新型コロナウィルスの感染者は、一人も確認されていない。
スリ・ムリヤニ・インドラワティ財務相はウィルス監視体制を支持する一方、次のように述べている。
「我が国の貿易見通しは依然として明るい。我々はそれを維持しなければならない。農業、鉱業、漁業も依然として活発だ。これらの領域の成長を確実なものにしなければならない」
加えて「政府は特に不動産、一般消費材に関する新しい政策を打ち出している。それらが景気に好循環を持たらすものと期待している」
スリ財務相は国内株価市況の観点からも、インバウンドの減少や資本流出などの災禍がインドネシア経済に及ぼす影響は少ないとの認識を持つ経済専門家に対し、賛意を示している。
インドネシア中央銀行の20年のGDP伸び率の見通しは5・1~5・5%。これは政府目標の5・3%とほぼ同様だ。フィルマン・モフタル経済政策局長は債券市場の流出を認める一方、中央銀行の市場安定政策を以てすれば、それらは「限定的なもの」としている。
だが、慎重な見解もある。経済金融開発研究所のエコノミスト、ビーマ・ユドヒステラ氏は、コロナウィルスへの政府の慎重な姿勢を歓迎する一方、2003年、インドネシア経済に大打撃を与えたSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き合いに警鐘を鳴らす。
当時は中国の我が国への経済寄与率は7%にすぎなかったが、すでに20%に達している今日ではその影響力は甚大であると。コロナウィルスの影響で中国経済が1~2%減速すると、インドネシア経済はSARSを大幅に上回る影響を受けると同氏はみている。
悪影響を回避するためにも、大型投資を呼び込み、消費活性化や公共投資を促進する骨太な政策が不可欠だ。19年、中央銀行は銀行貸出を活性化するために大幅な金利引き下げを4回実施したが、さらなる引き下げも可能だ。大胆な政策なくして、20年の5%成長は難しい。対応は早ければ早いほど効果がある。文:リリス・イラワティ
ソース:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/51090.html
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