同船には乗客乗員併せて3700人が乗っていたが、その内、フィリピン人は531人が運航業務、船内サービスで従事しており、乗客としては7人が利用していた。
同船の集団感染は全体で700人近くが確認されているが、フィリピン人の罹患者数は2月25日現在で80人となったが、日本国内の病院で手当てを受けていて10人は既に回復している。
この事態を憂慮したフィリピン政府は特別機2機を用意して、フィリピン人乗員乗客の帰国を敢行し2月26日未明までに450人の帰国が実現した。
特別機は羽田からルソン島中部のクラーク国際空港へ向かい、その後帰国した乗員乗客は政府が用意した近くの隔離施設に収容、2週間の観察を受けることとなった。
海運の世界ではフィリピン人船員の力なくては運航できない状態で、船員が全世界で160万人といわれる中、フィリピン人船員はその4分の1の40万人に達している。
このフィリピン人船員が母国に送る金額が年間60億ドル以上に達し、出稼ぎ国家フィリピンでも一番の稼ぎ頭となっている。
ちなみにフィリピンの大学においての人気コースは看護師と船員専攻であり、看護師は高収入と移民への道、船員は高収入が開けているためで、1970年だか急激に始まったフィリピンの出稼ぎ体質は国内産業の貧弱さと共に今も改善されていない。
今回のダイアモンド・プリンセス号からの乗員の大量離脱は、雇用の面で元の職場に復帰できるのか不確かな点が多く、フィリピンへ帰国した乗員間には不安感が広がっている。
しかし、フィリピンの船員は船員専用のマンパワー会社経由がほとんどで、同船との雇用関係ではなく個々のマンパワー会社との交渉となるために同船を運航する会社には影響が少ないと見られている。
こういった中、フィリピン政府高官は帰国した乗員の雇用は確保されていると言明し、そのため今回は一時金1万ペソ(約2万2千円)のみを支給すると明らかにしている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=511