これによると、前年比5.6%のGDPとなり、政府が目標としていた6.0~6.5%に届かなかったことが明らかになった。
この数字は2011年に記録した3.7%以来の低い水準となり、フィリピンのライヴァルとされるヴェトナムが7.0%、アメリカとの貿易摩擦で国内経済が落ち目となっている中国が6.1%の経済成長を記録している中で、フィリピンの低調ぶりが目立った。
2019年の四半期ごとのGDP成長率を見ると、第一4半期(1月)~3月)5.6%、第二4半期(4月~6月)5.5%、第三4半期(7月~9月)6.2%、第四4半期(10月~12月)6.4%と振るわなかった。
低調の原因について経済官庁は、2019年度の予算成立が大幅に遅れた4月半ばに成立し、そのために財政支出が減少したことを挙げている。
また、同年5月に行われた上下院議員及び各種自治体首長と各種議員選挙によってインフラ整備が進まなかったことも低成長の原因とみているが、選挙後のGDPの伸びは芳しくない実態から選挙を言い訳にしていると指摘されている。
それでも政府は2020年度のGDP成長率を、6.5%~7.5%と高い値を設定しているが、世界経済の不透明感から達成は困難との見方が強い。
GDPの産業別では自然災害に弱い農林水産部門が1.5%と低いながら前年比0.7ポイント増となったが、既に今年に入ってルソン島タアル火山の噴火によって農産物の被害は甚大となっていて影響は大きい。
一方、サービス部門は7.1%と見た目は年間のGDPをけん引した形になっているが、前年比0.3ポイントの微増で先行きは不透明。
GDP統計で世界経済の影響を一番受ける工業部門はやはり不調で4.9%、前年比1.9ポイントも落ち込んでいる。
中でも、不動産市場と密接な関係のある建設業は7.7%前年比7.2ポイントも大幅に減少し、不動産バブルの危険信号ではないかと見る向きもある。
また、注目される民間消費の伸びだが、前年の5.6%から微増の5.8%となり、国家予算の半分に相当する海外からの巨額な送金が未だに消費を支えているのが分かるが、歪な経済構造であることは変わりなく、改善を求められているが、打つ手はなしというのが現状である。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=391