インドネシアへの重要投資国である中国に対する、対応が注目される。
インドネシア政府は昨年12月に中国の漁船約60隻が海警局の船舶を伴いEEZに侵入、操業したとして駐インドネシア中国大使に抗議している。
ナトゥナ諸島付近は、インドネシアが設定したEEZと、中国が管轄権を主張する「九段線」と一部が重複しており、中国側は海警局の船2隻を入れているとみられる。7日には同海域で新たに2隻の派遣が確認され、インドネシアは退去を求めている。
九段線をめぐっては、フィリピンがオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴し、16年に国際法上の根拠がないと認定された。国連海洋法条約を超えて主権を主張することはできないとしている。
インドネシアは17年にナトゥナ諸島北方のEEZの正式名称を「北ナトゥナ海」にすると発表、18年には同島に陸海空軍の基地を整備するなど、対抗姿勢を打ち出してきた。
ルトノ・マルスディ外相は今回の騒動を受け、「九段線を認めない。中国には国連海洋法条約を遵守する義務がある」と記者団に話している。
一方でルフット・パンジャイタン海事・投資調整相は「中国の漁船は減少している」とし、対立するべきではないとの立場を示している。
また、プラボウォ国防相も「冷静に、落ち着いた態度で対応する」と発言し、世論の過熱を抑えた。
在任中に、違法操業漁船の爆破などで人気を集めたスシ・プジアストゥティ前海洋水産相は同問題について、ツイッターで「違法漁船は拿捕して沈めるべきだ」と主張した。
今回の問題に関し、地元有力紙コンパスなどからは、中国側にはジョコウィ第2期政権の南シナ海問題に対する反応を確かめる狙いがあるとの見方が出ている。
(大野航太郎)
ソース:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/50645.html