移転先はメトロ・アトム・プラザ3階の奥、ナイトクラブを取り壊した場所に作られた。冷房が届かず蒸し暑い。伝統市場管理の州営企業パサール・ジャヤは移転した古着商の家賃(月10万ルピア)を6カ月間免除するなど優遇し、68店の移転が決まったとしているが、23日には5店しか開店していなかった。
「この服は日本からだぞ」。移転して3日目というイルワンさん(28)がチェック柄のシャツを見せてきた。「500円+税」と書かれた、日本の古着チェーン「セカンドストリート」の値札が付いている。「取り除いたら日本からのものだと分からず、価値が下がる」のだという。
アデさんは「ここは店のスペースが狭すぎる」とこぼす。1店あたり1畳ほどの面積しか与えられておらず、学校ジャージーなど陳列できていない服が多数あるという。「家賃の無料期間中は営業してみる。だめなら移転先を探すが、スネン市場よりいい場所があるとも思えない。また戻りたい」と話した。
移転2日目のアデ・アブリアントさん(34)は「売れた商品はまだ一つもない」と訴える。同じフロアに古着商が密集しており、「エスカレーターから遠いここに来る客なんていないだろう」と話す。それでも他に移転先はなく「なんとか続けるしかない。店が集まれば、活気が出てくるかもしれない」と期待した。
スネン市場では2017年1月に千店以上を焼く大規模な火事があり、店を失った古着商などが市場前の道路に集まっていた。だが行政は渋滞の解消や建屋の再建工事のため、ことし12月9日に通りを封鎖した。(大野航太郎、加藤ひな子)
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