インドネシア:リゾート復興も住民困窮 スンダ海峡津波1年 住宅、漁船流され
スンダ海峡のアナック・クラタカウ山の噴火が原因で発生し、バンテン、ランプン両州で437人が死亡した津波災害から、22日で1年が過ぎた。津波で破壊された海岸沿いの道路は修復され、リゾート施設が営業を再開するが、多数の住民は未だ生活を再建できずにいる。
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津波はアナック・クラカタウ山が噴火し、山の一部が海に崩落して発生した。地震は観測されず、津波警報は出なかった。突然津波に襲われ、海岸部では住民や観光客が避難できなかった。
バンテン州のリゾート施設「タンジュン・ルスン・ビーチリゾート」では、ロックバンド「セブンティーン」の演奏中にステージ裏から津波が押し寄せ、バンドメンバーと観客をのみ込んだ。
同施設の営業担当者によると、3月に営業を再開し、ことしのレバラン(断食月明け大祭)休暇では宿泊施設80室が満員になった。クリスマスから年末までの期間も約80%の部屋が予約済みで、「客入りは津波の前とほぼ変わらない」という。
同州パンデグラン県チャリタの海岸で、魚料理店を7人家族で営むファリドさん(27)は「海岸沿いの道路は修理され、客も徐々に戻ってきた」と話す。海岸にはまだ壊れたままの家や荒れたビーチも残り、ファリドさんは近隣住民と、流木やごみの撤去を進めている。
津波で全壊した住宅は、バンテン州で約840軒、ランプン州で約540軒。行政や支援団体から1300軒以上の仮設住宅が提供された。だが、両州とも恒久住宅の建設に着工できておらず、用地取得の段階にある。
被災した住民は生活の糧も失った。ことし3月からバンテン州パンデグラン県チャリタの仮設住宅に入ったマシトさん(43)は被災前は漁師をしていたが、津波で漁船を流された。今はビラ(宿泊施設)の清掃員として日銭を稼ぐが、3人の子どもが通学に使うアンコット代に頭を悩ませている。「漁師しかやってこなかった。船さえあれば、以前のように稼げるのに」と歯がゆそうに話した。
ランプン州南ランプン県ワイムリ村の漁師、モクシンさん(40)は妻と子ども3人と仮設住宅に住む。津波で住居と漁船が流され、今は仕事をしていない。蓄えはなく「自分で船を買い直すことなどできない。政府の支援が欲しい」と願う。だが、災害対策局(BNPB)の職員は「流された多数の漁船を支援する予算はない。昨年災害が多発して国内には多数の支援ニーズがあり、国からの支援も難しいだろう」と話した。
津波では、ことし2月までに437人が死亡、10人が行方不明になり、約3万2千人が負傷した。アナック・クラタカウ山は現在も活動状態にあるが、警戒レベルはことし3月までに4段階中上から2番目の「シアガ(警戒)」から3番目の「ワスパダ(注意)」に引き下げられた。
(大野航太郎、高地伸幸、8面に関連)
ソース:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/50533.html
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