香港区議選、民主派8割超の議席を獲得 「全市民の勝利」
香港では11月24日、区議会議員選挙(地方議会選挙)の投票が行われた。同日夜10時30分から始まった開票では、有権者の71.2%にあたる294万人が投票したことが分かった。投票総数は過去最高となった。6月以降、民主派候補者は、18の区議会を合わせた全452の議席の80%を超す387議席を獲得し、59議席に止まった親中国共産党の建制派に圧勝した。香港の高度な自治を奪った北京政府にノーを突きつけた。
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今回の選挙は過去最多の1090人が立候補した。民主派の議席は選挙前の3割から急拡大した。中国本土に犯罪容疑者の移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案をきっかけに始まった抗議活動で、香港政府に対して自由・民主を求め、中国当局による一国二制度への干渉に反対する市民の強い民意を色濃く反映したといえる。
投票結果が公表された後、一部の投票所で市民は「香港を取り戻そう」「時代革命」と大声で叫んだ。
「親中派を追い出したい」
市民の間では、今回の区議会は「住民投票」に相当し、ある程度「中国共産党の代理人」を締め出すことができたとの見方が広がっている。
現地時間24日午前7時30分前、深井区、太古城、湾仔など各地の投票所で、有権者が投票開始前にすでに長蛇の列を作った。
深水埗区美孚の投票所で、投票に参加した夫婦は「投票で、保皇党(親中派)を追い出したいから」と話した。
荃湾区福来では、市民の蔡さんは「今回の区議会選挙で民主派が勝っても、香港の現状を変えるのは難しい。しかし、親中派が香港政治の末端を支配しているという局面を打破できる」と話した。
区議員は、騒音や生活ごみなど住民からの苦情を処理することが多く、香港政府の政策策定に関わることは少ない。しかし、民主派が勝利した今回の選挙は、2022年の行政区長官選挙に一定の影響を与えるとみられる。長官を選ぶ選挙委員会の1200人の委員のうち、117人が区議員になる。区議会選挙で最も多く票を獲得できた議員は、その委員になるというルールがある。全70議席の立法会(議会)のうちの6議席は区議員に割り当てられる。
沙田区に住む市民の翟さんは、2014年の民主化運動「雨傘運動」をきっかけに政治動向に注目し始めたと語った。「今こそ、政治的な訴えをしなければ、今後もっと難しくなるだろう。私たちは共産党に奪われた自由を取り戻さなければならない」と言った。
理工大学の鍾剣華助教授は「過去数カ月間、政府は市民の訴えに応じていないし、警察当局が抗議者への暴力をエスカレートさせた。市民は区議会選挙で、この強い不満をぶちまけたいのだ」と指摘した。
市民襲撃に関与した議員が落選
屯門区樂翠選挙区では、再当選を狙った親中派議員の何君尭氏は落選し、民主党所属の盧俊宇氏が当選した。7月21日、元朗区では白い服を着た集団が、地下鉄駅構内で市民らを無差別に襲撃した。インターネット上では、白い服の集団が暴力団「三合会」のメンバーで、何氏が襲撃に関与したと指摘されている。その後、英アングリア・ラスキン大学は、何君尭氏に与えた名誉博士号をはく奪すると発表した。
25日未明、樂翠選挙区で何氏の落選が確定した後、市民らはシャンパンかけを行い盛大に祝った。
当選した盧俊宇氏は、「民主派の圧勝は、市民による林鄭月娥政府への審判だ。香港市民は、長い間の中国当局の出先機関である中連弁(中央政府駐香港連絡弁公室)による香港への支配・浸透を完全に否定した」と語った。
「全市民の勝利」
6月から、市民に平和的な集会・デモ行進を呼び掛けてきた民主派団体、民間人権陣線(民陣)の召集人である岑子傑氏も、沙田区瀝源選挙区で3283票を得て当選した。
岑氏は「獲得した票は、私ではなく若者への投票だ。今回の結果は香港市民の勝利だ。6月9日、6月16日、8月18日の集会とデモ行進は100万人、200万人の市民が参加した。私は香港市民に失望したことはなかった」と述べた。
同氏は8月29日と10月16日、覆面した男らに、ナイフや金づちなどで2回も襲撃され、重傷を負った。
元警官も当選
4カ月前まで香港の女性警官だった邱汶珊氏も今回の区議会選に立候補した。警察官を辞職した理由について、「香港デモでの警察の対応を認められず、独立調査会を立ち上げ、一連の暴力事件の真相を究明すべき」だと大紀元に述べた。
6月9日の100万人デモ、16日の200万人デモのとき、邱氏は警備としてデモを見守っていた。「市民には強い不満があった。警官に向かって“黒警”(黒社会と癒着する警官)と不満をあらわにされた」と同氏は当時の状況を述べた。「胸が痛かった」
その後、抗議者に暴力を振るう同僚を見て、11年間勤務した警察官を辞職すると決めた。「良心と仕事の間、良心を選んだ」
「違う立場から香港人に奉仕したい」と今回の区議会選挙に立候補し、当選した。
(大紀元:翻訳編集・張哲)
ソース:https://www.epochtimes.jp/p/2019/11/49347.html
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