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ベルギー孔子学院の責任者、欧州26カ国8年入国禁止に 「スパイの恐れ」

 
現地紙「デ・モルゲン」によると、このほど入国不許可となったのは、ブリュッセル自由大学(VUB)孔子学院の代表・ 宋新寧氏。同氏はすでに、10月までに北京に帰国している。
 
北京の人民大学教授で欧州研究所所長を務めた宋氏はこのほど、ベルギーの王立国際関係研究所での講演に参加するため、北京のオーストリア大使館を通じてシェンゲン・ビザ(注:欧州26カ国の自由な移動が90日間許可されるビザ)を申請したが、拒否されたという。さらに、8年間、シェンゲン協定加盟国への立ち入り禁止を言い渡された。
 
この措置について、同紙は、ベルギーの治安当局が宋氏をスパイなど脅威のある人物と見なしている可能性があると伝えた。
 
宋氏は2007年、ベルギーに渡り、ブリュージュにある国連大学の組織・国連大学地域統合比較研究所(UNU-CRIS)に転職。2016年にブリュッセル自由大学内に孔子学院が設置されると、代表に就任した。同紙によると、宋氏はベルギーで国際的な人脈を築き、諜報要員としてビジネスマンや中国人留学生経由で情報を収集していたという。
 
宋氏はビザ不発給について、異議申し立てをしている。「なぜ私が中国の情報機関とかかわりがあるとみなされているのか、わからない」とモルゲン紙の取材に答えた。
 
ブリュッセル自由大学研究員で、欧州議会顧問スーザン‐アンナ・ファランシ(Zsuzsa-Anna Ferenczy)氏は、「欧州の国力の弱い国に中国は近づき、影響を与えようとしている」と同紙に語った。ファランシ氏は大学側に、孔子学院による安全保障上のリスクについて警告してきたが、無視され続けたという。大学は、中国当局による監査を受け入れていたと述べた。
 
同紙の取材によると、ブリュッセル自由大学の副学長ミューセン氏は最近、人民大学を訪問し、宋氏と面会していたという。同紙記者はミューセン副学長に対して、「入国禁止の措置が下った人物に北京で面会するのは、不適切ではないか」と質問した。
 
副学長は、「宋氏のビザに関する情報は詳しく知らない」と述べ、「北京訪問は宋氏の後任になる人物に挨拶する目的だった」とした。
 
中国教育部(文部科学省に相当)は2004年から、中国文化と言語を伝える「孔子学院」を海外の教育機関に設置している。15年間で、134カ国以上に500を超える孔子機関が設けられた。同院設置のために、中国政府は現地大学への資金提供や教材寄贈を行っている。
 
孔子学院を管理する事務局・漢弁には、以前、対外宣伝工作組織・中国共産党中央統一戦線工作部の部長・劉延東氏が務めていた。中国国務院(内閣に相当)は公式に、孔子学院は「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広めるためだ」と説明している。
 
米連邦捜査局(FBI)長官は2018年、孔子学院をスパイ容疑で調査していると米議会で明らかにした。これまでに、スウェーデン、フランス、オランダ、米国、およびカナダでは、内政干渉の疑いのため、孔子学院を相次ぎ閉鎖した。
 
(大紀元:翻訳編集・佐渡道世)