ロブレドの対立候補は近代フィリピン史上最大の独裁者マルコスの息子の上院議員(当時)で、マルコス一族は1986年の『エドサ政変』によってハワイに逃亡したが、いつの間にか復権し、2019年上院選では長女が上院選に当選。
2016年副大統領選の両候補の得票数はロブレド1441万票余、マルコスは1415万票余でロブレドが26万票の僅差で当選したが、その開票を巡ってマルコスが『開票に不正があった』と提訴。
独裁者マルコスがその座を追われたのはコラソン・アキノと争った1986年大統領選の不正開票がきっかけで、その息子が選挙不正を訴えるとは噴飯ものと批判されたが、マルコス側は潤沢な資金を持って裁判に持ち込んだ。
そのため最高裁判事らで構成する大統領選特別法廷『Presidential Electoral Tribunal(PET)』を設置し、投票の再確認作業を行っていた。
その判決が10月15日にでるはずであったが、PETは判決の延期措置を取った。
判決延期の理由は明らかにされていないが、PETは両者に対して抽出点検をしているパナイ島イロイロ、ルソン島南カマリネス、ネグロス島東ネグロスの3州の再集計についての報告書を提出するよう命じた。
PETは判決案の執筆期間を10月18日から11月3日とし、翌4日に修正のための最初の会議を開催すると公表しているが、スケジュール的にはクリスマス期間が重なるため、判決文作成は年明けになるとの見方が強い。
また、最高裁長官が10月18日、10月26日にもう一人の判事がそれぞれ退任する内部事情もあり、判決は更に遅れると見られている。
再点検の内容は公式には何も発表されていないが、判事によっては『マルコス側の訴えは根拠がない』と公言している者もあり、マルコス不利との見方も出ている。
しかし、現在の最高裁判事の構成はドゥテルテが選んだ判事を含めてドゥテルテ寄りが顕著で、ドゥテルテ自身も『副大統領はマルコスが良かった』と公言している状況からマルコス有利の忖度判決が出る可能性も出ている。
正副大統領の任期は6年で、既に任期の半ばを過ぎていて、無意味な訴訟をマルコス側は止めるべきとの声も高いが、マルコス陣営は嫌がらせ訴訟を続けるキャンペーンを張っている。
ソース:www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=488