各地で激化しているデモは、イスラム保守派や労働団体など、野党勢力による反ジョコウィ運動の様相も呈している。当初、重要法案の可決阻止を目的とした学生団体主体のデモだったが、「これに便乗した勢力」(ウィラント政治・法務・治安調整相)が、来月に迎えるジョコウィ氏の2期目の就任阻止を訴え大衆動員を活発化させている。
こうした動きに対し、警察は28日、火炎瓶28本を民家に保管していたとして、西ジャワ州のボゴール農科大(IPB)講師を爆発物不法所持の疑いで逮捕し、野党勢力のけん制に乗り出した。同講師は、中央ジャカルタのモナス(独立記念塔)広場で同日開かれたイスラム保守派「212」の集会で火炎瓶を使い、混乱を引き起こそうとしたとしている。
一方、東南スラウェシ州クンダリ市では26日、デモに参加していた学生評議会(BEM)の学生2人が死亡、うち1人が治安部隊が発砲した実弾を被弾したとみられる。最近の学生デモで死者が出たのは初めてで、学生らは真相究明を訴えている。
29日、国会周辺では、スマンギ、スリピ交差点、パルメラ駅、プジョンポンガン、ブンカルノ競技場北側などの大通りが閉鎖された。午後2時すぎには学生約300人が国会に隣接する店舗に入り、改正汚職撲滅法撤回などを訴えた。
■法案成立数は減少
国会はことしに入り、来年国家予算や婚姻法、立法府法、汚職撲滅法、水資源法、持続可能な農業育成法、創造経済法、プサントレン(イスラム寄宿学校)法、国防人材管理法などの法案を可決した。
次期国会に持ち越した主な法案は、反対意見が噴出した刑法のほか、国土法、島しょ地方法、禁酒法、タバコ法、性暴力撲滅法、医薬食品監視法、協同組合法、デザイン産業法など。
市民団体の国会監視市民フォーラムによると、現国会は、2014~19年の5年間で計91本の法案を成立させたが、09~14年の前国会の125本から大幅に減少した。一方で、ジョコウィ政権2期目の目玉施策となる新首都建設計画に絡み、国会特別委員会を設置。次期国会が同計画を継続審議することになる。
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