エチオピアの首都アジスアベバでは、アフリカの多くの主要都市と同様、多くの中国の投資プロジェクトがある。市内には公営・民間含む、いくつもの中国投資の高層ビルや建造物が並ぶ。
55カ国が加盟するアフリカ諸国連合(AU)本部となる、アフリカ連合会議センター(AUCC)は、中国政府が2億ドルを支援してアジスアベバに建設した。
周囲にはスラム街が隣接するため、その豪快な資金力が一層、際立つ。2018年には仏紙が「AUCCには中国当局が情報を傍受できるバックドア(抜け穴)が密かに仕掛けられている」と報じた。
AUCCで気候変動と開発会議(CCDA-V111)が行われる事前のイベントとして、有志団体「アフリカ市民社会組織」はアジスアベバに集った。議題は、アフリカにおける中国の投資拡大への懸念に集中した。
イベントは、パン・アフリカ気候正義同盟(PACJA)が主催する。「現地社会に配慮しない中国からの投資は現地にメリットを与えず、資源を略奪している」と多くのメンバーらは中国投資に不満を述べた。
「ここ、アジスアベバでは、多くの(中国投資による)建造物が見られるが、ほとんどは中国人が関わっていた」PACJA代表ミティカム・ウェンダ氏は語った。
シエラレオネ本拠の環境保護と開発の専門家ヘンリー・バヨ(Henrry Bayoh)氏は大紀元の取材に対して、北京からアフリカへ大規模な投資があるにもかかわらず、多くの人々は恩恵を受けていないと語った。
「私の国の多くの人々は、中国人に不満を抱いている。なぜなら、ほぼすべての経済セクターと経済的な機会を横取りされていると考えているからだ。さらに中国人は、中国から労働力を持ち込んでいる。地元に雇用も生まれない」とバヨ氏は述べた。
アフリカは豊富な資源を持つものの、開発のための財政、インフラ、資源を利用して生かす能力がまだ十分ではない。このため、技術力と資金を持ち込んだ中国が、開発機会を手にしている。
「中国から多くのお金が入ったが、同時に借金が増え続けている」とアフリカ市民社会組織メンバーは、会議後に発表した声明に書いた。
アフリカ市民社会組織は声明で、借金と監査、財政バランスを管理する政治力も欠如しているため、中国融資を受けてもアフリカは利益を得られていないという。
いっぽう、中国の投資家は自分の会社をアフリカに持ち込んで、自らの利益を最大化している、と声明で中国投資家を批判した。
声明の中で、アフリカ市民社会組織は、次世代のことを考慮せず、中国がアフリカの天然資源を過剰に搾取していると述べた。
複数の事例で、中国人は違法に入国し、現地法が許可しない活動を行い、過剰に資源を搾取しているという。
南アフリカの新聞は2018年、経済アナリストの話として、「中国の終わりのないローンはアフリカを未払い債務のアリ地獄に導く可能性がある」と報じた。
報告によると、「国際通貨基金はアフリカ15カ国の債務問題の増加を警告するなか、中国は過去18年間で、アフリカに40億ドル以上を投入した」という。
こうした背景を受けて、アフリカ市民社会組織は、中国との交渉を行うときは事前に、同組織を含む民間、政府部門が適切な協議を行うべきだと主張する。さらに、投資家は人権を尊重し、投資が将来の世代にプラスになるよう保証する必要があると指摘した。
(大紀元:文・Andrew Mambondiyani/翻訳・佐渡道世)