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中国:人民銀行、預金準備率引き下げ 指導部重要会議の直後に

  
預金準備率の引き下げは今年に入って3回目となる。今回発表のタイミングに注目が集まった。
中国の李克強首相は4日、国務院(内閣に相当)常務会議において、「穏健な金融政策を実施していく」と強調した一方で、実体経済を下支えするために「適当な時期に(預金準備率を)微調整し、実際の金利水準を引き下げていく」と述べた。

 
劉鶴・副首相も3日、中国当局はさまざまな困難や課題に対応する「能力、自信、条件を完全に有する」と話した。
両氏の発言の直後に突如、人民銀行が預金準備率の引き下げを公表したことは、国内経済悪化が一刻の猶予もない状況になっていることを浮き彫りにした。

 
ロイター通信によると、中国のシンクタンク・中国国際経済交流センターで研究員を務める張永軍氏は、「中国経済の下振れ圧力が比較的大きく、資金供給量がひっ迫している」と指摘した。同氏は、米中貿易戦の激化で、中国の輸出業も今後一層低迷すると予想されるなか、「中国当局は政策を調整せざるを得ない」との見方を示した。

 
中国当局は8月23日、米への報復措置として、年間輸入総額750億ドル相当の米国製品に対して5%から10%の追加関税を課すると発表した。
これを受けて、トランプ米大統領は同日、米が輸入するほぼすべての中国製品5500億ドル相当への追加関税率をさらに5%上乗せするとツイッターで公表した。
 
 
香港紙・香港経済日報4日付によれば、スイス銀行大手UBSの中国人エコノミスト・汪濤氏はトランプ米政権の関税率5%の上乗せ措置によって、今後1年以内に中国の国内総生産(GDP)伸び率が0.4%押し下げられるとの見通しを示した。貿易戦による中国GDP伸び率への影響は、今年の10~12月期と来年の1~3月期に現れる。汪氏は、今年の中国のGDP伸び率は6%の水準に維持されるが、来年5.5%に低下すると予測した。

 
一方、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、ピーターソン国際経済研究所のマーティン・コルゼンパ氏の話を引用し、中国当局は預金準備率を引き下げ、「金融機関の与信拡大を促すといういつも通りのやり方」で景気を押し上げていくと指摘した。

 
中国国内メディア「新京報」や「証券日報」などは、人民銀行の措置について、実体経済を支援する一方で、低迷する「国内不動産市場にとって朗報だ」との見方をした。

 
9000億元の資金の大半が、製造業ではなく不動産市場に流れるとみられている。一部の国内メディアは、近く不動産市場の活気が戻ると楽観的な見解を示している。

 
海外金融市場の関係者は、中国当局が預金準備率引き下げの次に行う政策は、輸出を有利にするために、対ドルでの元相場を一段と切り下げることだとみている。

 
ロイター通信が4日、60人のアナリストに行ったアンケートによると、大多数のアナリストは今後6カ月以内に、元相場が1ドル=7.19元まで下落するとの見通しを示した。さらに、1年後の元相場は1ドル=7.75元台へと急激に進むと予測したアナリストもいた。

 
米中双方は10月、閣僚級の通商協議を米ワシントンで開催すると合意した。双方は、中国側の構造的改革の実施や合意履行の検証などをめぐって依然として意見が対立している。

 
トランプ米大統領の経済顧問、ラリー・クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は6日、記者団に対して米中通商協議の長期化に言及した。同氏は、米中貿易摩擦を解決するために米中双方は意思疎通を続けてきたが、対立を完全に解消するには数年かかるかもしれないと述べた。
 
(大紀元:翻訳編集・張哲)

ソース:https://www.epochtimes.jp/p/2019/09/47013.html