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フィリピン 2019年中間選挙-上院議員選

 
アキノ前大統領を生んだ野党の自由党は現職を落とすなど票が伸び悩み、全滅となった。

 
トップ当選はシンシア・ヴィラール(現)で2500万票を超え、これはドゥテルテ当選時の得票数が1660万票余を考えると途方もない数字だが、上院選投票時には定員一杯の12人まで選べるためで、投票方法自体に問題があると指摘されているが改善されない。

 
同氏は2010年の大統領選にも出た不動産業で成功した元上院議員の妻で、フィリピンでも有数の大富豪。子どもはドゥテルテ政権の閣僚を務めている。

 
2位は唯一ドゥテルテと距離を置いているグレース・ポー(現)。同氏は2016年大統領選に出馬しドゥテルテに敗れるが、今回2位に付けたことで2012年大統領選の有力候補としての地位を守った。

 
3位はボン・ゴー(新)。同氏はドゥテルテのダバオ市長時代から仕え、大統領当選後は大統領補佐官になるが、ドゥテルテの子分という評価があったが、政府機関を選挙運動に使い楽々当選。

 
4位はピア・カエタノ(前)。女性議員として人気は高いが政治一族出身で、2期12年上院議員を務めた後、地盤の首都圏タギッグ市の下院議員を1期3年腰かけて復帰。

 
5位にバト・デラ・ロッサ(新)。同氏はダヴァオ警察署長からドゥテルテが大統領当選後に、警察最高位の警察庁長官に抜擢された異例の人物で、ドゥテルテに重用されているために腰巾着の異名を持ち、違法薬物容疑者殺害政策の協力な推進者。

 
6位にソニー・アンガラ(現)。同氏は父親が著名な法律家で上院議員を務め、その高名と地盤を継いで再選される。

 
7位にリト・ラピド(元)。ルソン島中部パンパンガ州を地盤とする政治一族出で、同氏は同州の知事職の経験もあり、本業の芸能人として票を集めている。

 
8位にアイミー・マルコス(新)。同氏は独裁者マルコスの長女で、地盤のルソン島北西端北イロコス州で知事を務め、初出馬で初当選。エドサ政変によるマルコス一族のハワイ逃亡から既に30年以上経ち、当時の事情を知らない、学ばない若い選挙民が増えたため投票したと伝えられる。

 
9位にフランシス・トレンチーノ(新)。同氏は閣僚級の首都圏開発局長を務めたが、首都圏に隣接するカヴィテ州を地盤とし、一族には独裁者マルコスと組んで副大統領に出た人物がいる。

 
10位にボン・レビリア(元)。同氏は俳優と知られ、政治一族の出身。上院議員在中に汚職事件を起こし長く収監されていて、今回は当選は難しいと見られていたが芸能票が大量に流れ込んだためか当選。

 
11位にココ・ピメンテル(現)。同氏の父親は反マルコスの闘志と知られた上院議員で、親の七光りで再選を果たすが、任期中に上院議長に就任するもののあまりの無能力さのために引き摺り落とされた。

 
12位にナンシー・ビナイ(現)。同氏は前副大統領の娘で、フィリピン一のビジネス街を持つ首都圏マカティ市を牛耳る新興政治一族出身。

 
以上が当選組で落選の13位にJV・エヘルヒト(現)。同氏は元大統領エストラダの愛人の息子でそれだけしか売り物がなかった。

 
14位にバム・アキノ(現)。同氏はアキノ前大統領の甥に当たるがそれだけの人物。現職で落選したことが自由党の退潮を象徴している。

 
15位にジンゴイ・エストラダ(現)。同氏は元大統領エストラダの妻の息子で俳優出身。やはり汚職事件に絡んで長期間拘留されていたのが響いたのか落選。

 
16位にマー・ロハス(元)。2016年大統領選でドゥテルテと争い次点で健闘。元大統領の孫、大財閥の御曹司と毛並みは抜群だが、それが嫌われて復帰を目指した今回の上院選で、よもやの落選となり政治生命は絶たれたと評される。

 
セブ関連ではセルヒオ・オスメニャ(元)が復活ならず、泣く子も黙るといわれたセブの政治王朝オスメニャ家も落日の気配が濃厚。本来なら地盤のセブ州で上位の得票を得て良いが得票数10位と振るわなかった。

 
【写真は最下位当選のビナイの選挙ポスター。片付けないのが問題になっている】
 

ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&command=body&no=481&