同受刑者をめぐっては有罪判決が下った2005年以降、豪州では不当判決だと非難する世論が高まり、インドネシアと2国間問題にまで発展した。同受刑者は、バリ州のクロボカン刑務所で服役9年で仮釈放が認められた。
法務人権相は記者会見で、矯正施設委員会の推薦に基づき、国内受刑者1291人を仮釈放とし、この中にコービー受刑者を含むと説明。国内法に即した措置で、政策や豪政府の圧力を受けた判断ではないと強調した。
コービー受刑者は04年、家族・友人とブリスベンからバリの空港に入国した際、背負ったボディーボードバッグに大麻4.2キロを隠し持っていたとして現行犯逮捕。第1審で禁錮20年の判決を受け、控訴審では同15年となったが、上告審で同20年が確定した。
有罪判決後、在豪インドネシア大使館やインドネシア外務省には嫌がらせで、麻薬を暗示する白い粉が送り付けられた。逆に在インドネシア豪州大使館前では抗議デモが行われるなど、両国政府が鎮静化に追われるまで事態が大きくなった。
同容疑者は90年代、日本人男性を夫に持ち(後に離婚)、約2年間、静岡県御前崎など日本に在住したことがある。逮捕以前は、日本と豪州を往来する際に5回、バリに立ち寄ったことがあった。
大麻は面識のない者が紛れ込ませ、コービー受刑者は無罪だとする世論を受け、豪州政府はインドネシア政府に減刑などの便宜を要請。受刑者も一貫して無罪を主張してきた。
インドネシア政府はこれまでに、ユドヨノ大統領が12年に出した恩赦の5年減刑のほかに、計30カ月の減刑諸措置を与えてきた。
コービー受刑者が実際に仮釈放となれば、身柄は17年まで司法当局の監察下となり、在バリの妹宅に居住しながら定期的な報告が義務付けられる。
豪州の民放テレビは今月、仮釈放に関連し特別番組を1週間放映するなど、同国では依然高い関心が持たれている。