習主席は「中国はイノベーションによる発展を大変重要視しており、次世代AIを科学技術の飛躍的な発展や産業のグレードアップ、生産力の向上のけん引役とみなしている」と説明。
その上で「AI技術分野での交流や協力、共有のためのプラットフォームの構築を目指す本大会で、参加者が共通認識を醸成し、協力関係を構築することで、次世代人工知能を健全な形で推進し、世界各国の人々にとって役立つものになることを願っている」と呼びかけた。
中国は2017年、「次世代AI発展計画」を策定し、官民が一体となって30年までにAIの領域で世界一を狙う方針を示した。AIの研究開発を進めるうえで、中国国内の大量のデータや世界トップクラスの論文本数などは中国にとって大きな強みだが、日本貿易振興機構(ジェトロ)が18年4月にまとめたレポートでは「中国は世界各国・地域の研究者との連携において後れを取っている」と指摘されている。各国との協調を求める習主席の祝辞には、自国のAI分野が抱える弱点の克服を狙う思惑があるのかもしれない。
塩谷衆院議員は、世界を舞台に繰り広げられているAIの研究開発競争について「巨大プラットフォーマーが収集した膨大なデータをもつ米国や中国が優位に進めており、これから日本が巻き返していくことはかなり困難」と認めつつ、「日本は、長年にわたって培ってきた質の高いデータとAIを融合させた研究開発に取り組み、国際的な競争力を確保していく」との立場を紹介した。
一方で「AIの社会へのインパクトは大きく、不安や疑義を抱く人もいる。データによってはAIが不適切な判断や誤作動を起こす可能性があることも事実。AIを社会実装し、社会全体で使いこなすためにも、データの信頼性を担保する基盤が必要だ」と主張し、「人間中心の社会原則に配慮したバランスある研究開発と社会実装を国際的な共通認識とするべきだ」と訴えた。
会場では、人工知能や5G、ビッグデータの応用などに関するフォーラムがあったほか、企業や大学がブースを出展し、自社の製品や技術をアピールした。大会は18日までで、主催者によると、今回は40カ国から約1000人が参加する見通し。
ソース:https://www.weeklybcn.com/journal/news/detail/20190517_167557.html