日本企業の海外進出をサポートする民間機関が、日本のIT関連企業1200社を対象にシステムやアプリなどを海外に委託する場合の国別人気調査を行い、このほど2018年度版を公表した。
これによると、1位になったのはヴェトナムで38%を占め、2014年に続いて首位の座を維持した。
2位はミャンマーの9%、3位に中国の8%、4位にインドとバングラデシュの6%、フィリピンは4%しか得られず6位であった。
ヴェトナムは国別の指定なしの25%を除くと、国別では50%以上にもなり、日本のこの業界の一極集中が鮮明になっている。
ヴェトナムの人気が高い理由として① 国がIT人材の育成に力を入れている。② IT業界に限らず日本で働くために国内での日本語教育が熱心。③ ヴェトナム国内に開発企業が急増し、選択肢が増えたなどが挙げられている。
また、従来は首都ハノイや経済都市のホー・チ・ミン(旧サイゴン)にこれら開発企業は集中していたが、中部のダナンやフエといった地方の都市に分散する傾向が出ている。
この地方への分散化は首都やホー・チ・ミンでは人件費などのコストが上がっているため、コストの安い地方都市に流れているもので、これもいずれコストの安い国へ移ってしまう『ポスト・ヴェトナム』問題からは逃れないと見られている。
その受け皿として前回4位であったミャンマーが2位になり期待度は高いが、軍事独裁体制時代の不安定な政治状況は払拭できず、不安視はあるものの、民主化運動で登場し国家最高顧問を務めるアウンサンスーチーの巧みな政治力で国内インフラなどが整備されつつあり、伸びしろは大きいと見られている。
また、前回5位から順位を上げたバングラデシュはヴェトナム同様に① 英語人材が豊富。② インドの影響もあってIT教育が盛ん。③ 狭い国土に人口が1億4000万人にも達しているが、この人口の多さが潜在力を持っていると見られている。
ミャンマーやバングラデシュはイギリスの旧植民地であり国民の間では英語力は高く、フィリピンは英語が通じる国としての従来の評価は既に後れを取り、これがフィリピンの魅力度を落としているとの指摘もある。
フィリピンはIT関連産業が育ち、GDPにも貢献しているが、その中身はアメリカなどの国向けの資本のかからないコールセンター業務が主流であり、システムやアプリなどの開発企業は遅れを取っている現状もある。
また、このコールセンター業務もコストの安い英語圏に流れていて、フィリピンも単純に英語の通じる国としての地位は安泰でなくなり、現にコールセンター業務の売り上げは伸び悩んでいる。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=381