フィリピン:一族の資産疑惑追及に 激怒するドゥテルテ
アメリカのトランプや日本の安倍を見るまでもなく、何処の国の権力者も身辺問題を追及されると激怒、あるいは無視、時には名誉棄損だとして裁判を起こすなど恫喝するのが常套手段で、フィリピン大統領ドゥテルテも同じような轍を踏む状況が持ち上がっている。
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今回はフィリピンのジャーナリスト団体が公表した『大統領一族の資産』問題で、ドゥテルテが大統領に就任した2016年6月からの大統領を含む一族の資産が急激に増えている実態が明らかにされた。これによるとドゥテルテ本人の資産は就任時に2408万ペソ(約5200万円)であったが、翌年には2854万ペソ(約6174万円)に増加している。
またドゥテルテの跡目を継いでダヴァオ市長に君臨する長女は2016年の3490万ペソ(約7550万円)から翌年には4480万ペソ(約9692万円)に増加。長女と同時期にダヴァオ市副市長であった長男は同じ時期に1984万ペソ(約4292万円)から2774万ペソ(約6000万円)といずれも増加している。この長男は副市長在任中に密輸に関与した疑惑が持ち上がり、本人は否定するものの全容が明るみになる前に辞任して身の保全を計っている。
フィリピンには憲法と関連法律によって全ての公務員は本人、配偶者、子供を含めた資産、負債、事業収入を記載した報告書の提出が義務付けられていて、最高権力者の大統領、立法の長である両院議長、司法の最高裁判所長官も例外はない。このため、アキノ政権時代には資産報告書の虚偽容疑で、当時の最高裁長官が弾劾にかけられ罷免された。その後アキノによって史上初めての女性最高裁長官が指名されたが、ドゥテルテ政権になってこの最高裁長官は資産報告の不備を追及され、最高裁判事の決によって罷免されている。
もっともこの場合は、はるか年下の女性判事にごぼう抜きにされて長官になったための妬みと男性優位を持つ判事を焚き付けたドゥテルテの作戦が功を奏した。また、最高裁判事の多数派を意のままに支配したいドゥテルテの戦略もあり、女性長官が定年の70歳まで勤め上げるとすると、ドゥテルテの施策が憲法違反として葬られる可能性が高いために先手を打ったとの指摘もある。実際、ドテルテ就任後に任命した最高裁判事はドゥテルテの『イエス・マン』ばかりであり、最高裁のドゥテルテ支配は仕上がっている。
ドゥテルテは資産が増加した理由について本人と長女は別々に弁護士事務所を経営していて、その収入があるためと説明し『政治家は落選したら無収入になるから副業を持って何が悪いのだ』と開き直っている。
しかし、報道によるとこれら弁護士としての収入は資産報告書に公表されていなくて、法律違反ではないかと指摘されている。
また長女の弁護士事務所は事業法人には義務づけられている証券取引員会(SEC)への登録がされていない闇弁護士事務所となっていて、同事務所の顧客には関税局と関係の深いブローカーがあり、長男の密輸疑惑やダヴァオ市に蔓延った密輸米との関連が指摘され、ドゥテルテの威名を使って便宜を計っていたのではないかとの疑惑が持たれている。
こういった一連の指摘に対してドゥテルテは身辺を調査する報道機関に対して『報復』を宣言していて、これはいまだ国民の間に80%近い支持率を誇っているためで、健康不安が囁かれる中で意気軒昂のポーズを維持し、5月13日の投票が行われる全国選挙で与党陣営を増やすために飛び回っている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=480
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