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【ロシア】中国資本工場計画に全土で抗議デモ

 
数カ月に渡り計画の反対を呼び掛けている、バイカル湖の環境保護運動「Save Baikal(バイカル湖を守ろう)」によれば、工場の計画ではバイカル湖の水を搾取してミネラルウォーターとして処理し、ペットボトルに詰めて中国に輸出する。また、施設周辺は封鎖されるという。
 
建設工事はすでに進展しており、凍ったバイカル湖表面にはパイプが敷かれている。3月22日、ロシア地方裁判所は、異論に対して回答が出るまで、建設工事の一時停止を命じた。しかし、計画自体は撤回されていない。
モスクワ・エコー・ラジオ放送によれば、ロシア野党が呼び掛けた24日の全土規模の抗議行動は、60都市で巻き起こったという。
 


 
ミネラルウォーター工場の建設地は湖の最南部に位置するクルツク(Kultuk)村で、ロシア企業アクシブ(AkvaSib)が担当する。しかし、2017年の工場建設計画に関する現地政府の文書によると、予算2100万ドルは、中国北東部黒龍江省大慶を拠点とする企業・貝加爾湖(バイカル湖)が出資するという。
 
アクシブ代表は以前、フランス通信(AFP通信)の取材に対して、施設は村の湖水利用に影響はなく、地元に雇用150人、当局に税収をもたらすと述べた。「地元で反対意見はなかった」とも付け加えた。
 
ロシア中南部のバイカル湖は世界の淡水の5分の1を占めると言われ、ロシア国民にとって国を代表する象徴的な湖。中国資本による淡水搾取と自然破壊に反対するこの度のデモ活動には、多くのロシア政治勢力や有名人が加わっている。イルクーツク州および近隣州の住民は市内中心部に集まりスローガンを掲げ、プーチン大統領に中国人による水資源利用の建設計画を停止するよう求めた。
 
デモのスローガンは、現在バイカル湖周辺における過剰な観光客によるゴミや排水の処理問題、放置された製紙工場からの有害物質の漏洩にまで及んだ。
 
ロシア共産党員の住民は、ロシアの森林が伐採された後、木材は中国に運ばれていることに強い不満を示した。また、中国人がバイカル湖のほとりで大量の不動産を購入しているとも述べた。
 
デモ主催側によると、参加者は数千人。ロシア当局は、このデモにロシア共産党員や党幹部が参加することを認めた。バイカル湖の南東湖畔から東へ100キロに位置するブリヤート州ウラン・ウデでは、バイカル湖の保護に加え、同地における中国企業の森林伐採の停止も求めた。ブリヤート地方議会議員のブリヤート環境資源保護局副代表もデモに加わった。
 
抗議活動は首都モスクワ、シベリア、トムスク、ノボシビルスクなどの大都市にまで広がった。現地メディアが伝える活動参加者によれば、デモに対して地方行政は非常に緩く、規制はないという。
 
バイカル湖は、ガラパゴス諸島と並ぶ「生物進化の博物館」とも称されるほど、多様な希少生物が生息する。世界最高の透明度で、1996年世界自然遺産に登録された。モスクワでのデモに参加した学生は、ロシア社会がもっとバイカル湖の自然保護に関心を向けるべきだと訴えた。「運動は反中意識に関連することは間違いない」シベリア拠点の環境保護活動家アレクサンドル・コロトフ(Alexander Kolotov)氏は英字メディアPhysに語った。「多くの人が、国家的な遺産が中国に破壊されると考えている」と付け加えた。
 
プーチン大統領の政党「統一ロシア」に近い政党「LDPR(旧称・ロシア自由民主党)」のウラジーミル・ジリノフスキー党首は、3月中旬、バイカル湖は50年以上汚染されていると批判した。最初に、ソビエト連邦が湖畔に建設した排液未処理の製紙工場、次に中国人向けのペットボトル入りミネラルウォーターだと述べた。LDPRは、どんな工業も湖畔周辺に建設することを完全に停止する法案を提起している。
 
今回の抗議活動は、有名な俳優や女性元議員らの呼びかけも加わり、大きな広がりを見せている。
 
SNSインスタグラムで250万人のフォロワーを抱える女優マリア・コジェーブニコワ(Maria Kozhevnikova)氏は、3月15日「#save baikal(バイカル湖を守ろう)」のタグをつけて、中国資本の工場建設に反対するよう呼びかけたところ、8万7000の支持を得た。
 
オンライン署名運動サイト「Change.org」では、同問題についての呼びかけで110万もの署名を得た。
 
ロシアの専門家は、バイカル問題に対する反中の市民運動は単なるきっかけに過ぎず、政権批判に繋がっていると見ている。その一因として、土地搾取とまで揶揄される中国資本の拡大は、ロシア政治の腐敗や汚職と結びついており、現地当局はバイカル湖の環境保護に適切な対策が取られてこなかったという。
 
(大紀元:編集・佐渡道世)
 
ソース:https://www.epochtimes.jp/2019/03/41432.html