フィリピンで「バンサモロ・イスラム自治政府」設立へ前進 暫定政府が発足
ミンダナオ島イスラム自治政府(人口450万人以上)の帰属を巡って、1月21日と2月6日に実施された住民投票により、従来のイスラム教徒ミンダナオ自治区(ARMM)に変わる『バンサモロ・イスラム自治政府(BARMM)設立の動きが具体的に進んだ。
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同住民投票では島嶼部の州や自治政府発足後に首都になるコタバト市では反対が多数を占め、必ずしも一枚岩でないことが明らかになっている。
しかし、同投票は個別の地域的な事情は考慮されず、全体で賛否の多数を占めれば承認されるいう形を取っているために、2回目の投票が行われたコタバト州では最少行政区であるバランガイ単位でBARMMに帰属するかどうかで賛否が分かれ虫食い状態で帰属が決まった。
こういった不安定要素がある中で、2月22日、Bangsamoro Transition Authority(BTA)=『バンサモロ暫定統治機構』が発足した。
同機構は暫定的に司法権と立法権を持ち、首相代行にイスラム武装組織モロ・イスラム解放戦線(MILF)を率いたムラド議長が就任した。
同機構は2022年に選挙を実施して、正式にフィリピン版『一国二制度』ともいえるイスラム自治政府が誕生する運びとなっている。
自治政府には外交と国防を除き、予算編成権や徴税権など大きな権限が中央政府から付与されるが、国税や国の交付金、特に豊富な天然資源を巡って利益配分の中央との交渉など問題は山積している。
また長年に渡って反政府武装闘争を続けた組織の武装解除問題や、同地域でイスラム教徒とキリスト教徒に対して別々の法律が適用されるという変則的な方法が採られ機能するのかという問題点も指摘されている。
同機構発足は長年内戦状態であったミンダナオ島同地区に和平をもたらすと内外共に歓迎され、日本などは早くから和平を見越して過大な政府援助を続けているが、平和よりも資源が欲しいだけとの冷めた見方もある。
BTAの首相代行にMILFの議長が付いたことに対して、島嶼部に未だ勢力を持つモロ民族解放戦線(MNLF)は発足に対して距離を置いていて、この存在が今後の和平プロセスに障害になるとの見方も強い。
同組織は武装闘争の末、イスラム教徒ミンダナオ自治区(ARMM)を設立したが、指導陣の能力不足、汚職体質から今回BTA発足の核となったMILFが分離した経緯があり、双方の確執はいまだ根強い。
また、MILFから分派した武闘組織も健在で、これら組織は海外のイスラム武装組織との連携が濃厚で、ミンダナオ島和平に一歩進んだとはいえ、銃で解決する方法に慣れた同地区の不安定要素はかなり残っている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=474
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