専門家は、企業のデフォルト増加は今年、中国経済が直面する最初の「灰色のサイ(発生の確率が高いが、軽視されがちな大きな影響力を持つリスク)」になると見ている。
ロイター通信(12日付)は山東省の裁判所の資料として、省内28社の民営企業がデフォルトに陥ったため、債務整理を進めていると伝えた。うち2社は、2018年「中国民間企業トップ500」にランクインした有力企業だった。
いっぽう、中民投のデフォルトは市場に衝撃を与えた。中民投が発行する社債「17中民G1」は旧正月連休明けの11日に約30%下落した。
中民投が1月29日に満期日を迎えた、総額30億元(約486億円)人民元建て債券の返済が滞ったことが原因だという。12日まで「17中民G1」は約56%暴落した。また、同銘柄の相場は額面金額より約64%下回った。
中民投は2014年、中国当局の中華全国工商業聯合会(全国工商聯)が主導し、国務院の批准を経て、中国国内民営企業大手59社からの出資を受けて設立された。不動産や再生エネルギー産業などの投資を手掛ける。
中国金融智庫研究員の鞏勝利氏は米国拠点の衛星放送・新唐人テレビに対して、中民投のデフォルトは国内金融危機を引き起こす恐れがあるとの見方を示した。
「全国工商聯は国内民営企業を管轄する政府機関で、中国当局の指導下にある。全国工商聯が全面的にバックアップする中民投が経営破たんすれば、他の民営企業に大きな打撃を与える」
中民投の総資産は、設立当初の560億元(約9,223億円)から現在の3109億元(約5兆1,205億円)に急増した。しかし、負債規模は2320億元(約3兆8,210億円)で、2015年末から2018年半ばまで135%増となった。
鞏氏は、中国当局が景気刺激のためにインフラ投資や不動産投資を促し、信用拡大を行ってきたことが、企業の債務急増につながったと指摘した。
中国経済学者の段紹譯氏は新唐人テレビに対して、企業のデフォルトの頻発は、米中貿易戦の影響だとし中国不動産市場のバブル崩壊はすでに進行中だと述べた。
「中国当局が今まで収益の少ない国有企業に融資し続けたことも、原因の一つだ。このため、国内景気が悪化し続けており、民間企業まで打撃を受けている」
香港経済評論家の朗然氏は地元メディア・香港経済日報(18日付)に対して、今年中国国内の民営企業は社債の大量償還を控えており、デフォルトのリスクが高まっていると述べた。デフォルトリスクのさらなる拡大により、企業債務問題は今年、中国経済にとって第1号の「灰色のサイ」になる恐れがあるとした。
中国債券市場では2018年11月以降、社債のデフォルトリスクの兆候が現れた。米格付大手フィッチ・レーティングスの調査では、2018年中国企業45社の計117銘柄の社債がデフォルトに陥った。元本返済総額は1,105億元(約1兆8,199億円)で、過去最大規模だという。
朗然氏によると、今年、中国不動産関連や鉄鋼メーカーの債務デフォルト・リスクは最も大きい。年内に約4,026億元(約6兆6,308億円)規模の不動産関連社債が満期日を迎え、昨年の倍に相当するという。
(翻訳編集・張哲)
ソース:https://www.epochtimes.jp/2019/02/40530.html