コメ大国のフィリピンでコメ輸入自由化へ 国内生産者からは不満も
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、国別の一人一日当たりコメ消費量は東南アジア諸国が上位を占め、その中でフィリピンは7位に入っている。
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フィリピンは一日325gの消費に対し、コメ離れが著しい日本は118gとフィリピンの約3分の1で49位となっている。
このようなコメ消費大国であるにも関わらず、フィリピンはコメを自給できずコメ輸入の大国でもある。
フィリピンの輸入米は『国家食糧庁』が、輸入、備蓄、販売を管理していて、販売価格なども規制されているが、その裏を掻い潜ってコメの密輸も盛んで市場には堂々こと密輸米が販売されている。
また、輸入米を扱う業者によってコメの市場価格が操作され、ドゥテルテ政権になって食料価格が高騰したのもコメが原因と見られている。
そのため、ドゥテルテ政権は従来あったコメの輸入規制枠を撤廃し、民間業者が自由に輸入できる法案が成立し、大統領の署名を経て近く発効する運びとなった。
しかしながら、この自由化法案は、国内でコメを生産する農家を切り捨てると猛反発が起きている。
これは国内生産するコメの値段と比べて輸入米の方が安く、大量に輸入されればコメ農家のコメは売れなくなるためで、コメ輸入業者などの業界を利するためと指摘されている。
これに対して政権側は『コメ供給体制を安定させ米価を押さえ、コメ業界の談合体質の一掃、業界とコメに関わる政府関係者の汚職根絶』と美辞麗句を並べているが、逆に今までのコメ政策の問題点が暴露された形になった。
コメ自由化に伴ってコメ輸入の主体であった国家食糧庁は、国内コメ生産農家からの買い付けと備蓄米確保に専念するように業態が変わるが、巨大組織である国家食糧庁の改革は示されていない。
今回の措置によって政府は、農務省が持つコメ増産プログラム70億ペソと国家食糧庁の国産米の買い付けと備蓄米確保用の70億ペソ、計140億ペソを支出することを予算化した。
また農務省はコメ自由化政策とコメ農家に対して付加価値の高い農産物転作を進めているが、これらは農家にとってリスクの高い選択になると同省高官から懐疑の声が出ている。
フィリピンの農業は気候変動、天災に弱くGDPに占める割合も低い上に、近年アセアン内で高い経済成長率を強調するフィリピンでは足を引っ張る状態となっている。
実際、2018年度の産業部門別の経済成長率の貢献度は年度成長率が6.2%の中で、農業部門は0.1%とほとんど伸びていないことが明らかになっている。
これは農業を含む第一次産業の生産性がフィリピンでは置き去りにされている結果で、最近の歴代政権でも農業部門の成長率が良かったのはエストラダ政権で6.5%で、最低はラモス政権の0.8%となり、他の政権でも1~2%台という低成長。
しかしながら、フィリピンの労働者数の3分の1が何らかの農業に関係し、これは全世帯の4分の1に達するという調べもあり、このため農業従事者を尊重しない政策によってフィリピンの貧困がなくならない要因の一つともなっているとされる。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=375
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